2. 年金からも給与からも「住民税」が天引きされる!わかりやすく解説

そもそも住民税とは、地域社会の会費のような性質を担っており、教育、福祉、消防・救急、ゴミ処理など、私たちの生活に身近な行政サービスを受けるために費用分担するものです。

所得が一定額以上になった場合、住民税が課税されます。年金受給者の場合は、住民税が基本的に年金から天引きされます。これを特別徴収といいます。

年金から特別徴収することは、地方税法第321条の7の2により定められているのです。

一方で、現役世代の多くは給与から住民税が天引きされていると思います。これは地方税法第321条の3第1項により定められており、働くシニアも同じです。

では、給与も年金も受取り、そのどちらも住民税が課税されるほどの所得になる場合はどうなるのでしょうか。その答えは、給与も年金も両方から天引きされるということになります。

また、公的年金に係る住民税を給与からの特別徴収とすることはできません。その逆も同じくです。

なお、年金から天引きされるお金は住民税だけではありません。次章では年金から天引きされるお金について確認していきましょう。

3. 厚生年金や国民年金から天引きされるお金(税金・保険料)とは

公的年金からは、住民税以外に3つのお金が天引きされる可能性があります。

これにより、「額面の金額」と「実際に受け取れる金額(手取り金額)」に違いが生じることが一般的です。

年金から天引きされる可能性がある税金・社会保険料は下記3つです。

  • 所得税および復興特別所得税
  • 国民健康保険料・後期高齢者医療保険料
  • 介護保険料

くわしく見ていきましょう。

3.1 所得税および復興特別所得税

年金所得が一定額以上の方は、「所得税」および「復興特別所得税」が源泉徴収されます(額面から社会保険料や各種控除額を差し引いた額に5.105%の税率をかけた額)。

目安として、65歳に満たない方は年金108万円以下、65歳以上の方は年金158万円以下の場合において、所得税は非課税になります※。

ただし、これは収入が公的年金のみのケースです。給与所得があれば確定申告が必要となり、所得税が課税される可能性もあると留意しましょう。

※障害年金や遺族年金は非課税となります。

3.2 国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料

年間の年金支給額が18万円以上の人は、健康保険料も年金から天引きされます。

加入する保険によって異なりますが、国民健康保険や後期高齢者医療制度の加入者が対象です。

なお、

3.3 介護保険料

40歳から64歳まで健康保険料に含める形で支払う介護保険料ですが、65歳以降からは単独で支払うことになります。

年金の支給額が18万円以上の人は年金から天引きとなる点や、介護認定されても支払う必要があることなどは、あまり知られていません。

基本的に、介護保険料が天引き対象でない場合は、健康保険や住民税も天引きされません(ただし普通徴収等で支払います)。

6月に送付される「年金振込通知書」で手取り金額が確認できるため、確認しておきましょう。住民税の注意点として、給与からも天引きされるケースもあるので、給与明細等で確認することが重要です。

初めは二重課税?と思うかもしれませんが、どちらも根拠があって算出された住民税なのですね。

では最後に、実際に支給されている厚生年金や国民年金の「額面ベース」での年金月額を確認しましょう。