2024年1月下旬に厚生労働省は、2024年度の公的年金の年金額引き上げを発表しました。
2024年度改定後の初回の年金支給日は、2024年6月14日となります。
公的年金は、老後の生活を支える大きな収入源となりますが、年金からも現役時代と同様に「税金」や「社会保険料」が天引きされることをご存知でしょうか。
年金からも天引きされることから、「思っていたよりも受け取れる年金額が少ない」と感じるケースも少なくありません。
そこで本記事では、年金から天引きされる税金や社会保険料について、詳しく解説していきます。
反対に「年金から天引きされない人」についても紹介しているので、あわせて参考にしてください。
1. 公的年金から天引きされる税金・保険料とは
冒頭でもお伝えしたように、公的年金は収入に該当するため、税金や社会保険料が天引きされた後に、私たちのもとに支給されます。
公的年金から天引きされる「税金・社会保険料」は、下記のとおりです。
- 国民健康保険料・後期高齢者医療保険料
- 介護保険料
- 所得税および復興特別所得税
- 個人住民税
順に詳しく解説していきます。
1.1 国民健康保険料・後期高齢者医療保険料
国民健康保険は、協会けんぽといった会社の保険に加入していない75歳未満の人が加入する公的医療保険です。
年間の年金支給額が18万円以上の人の場合は、年金から「国民健康保険料」が天引きされます。
なお、75歳に到達した人は「後期高齢者医療制度」という健康保険に切り替わり、年金から天引きされます。
国民健康保険と後期高齢者医療保険は、どちらかの加入となるため、同時に加入したり天引きされたりすることはありません。
1.2 介護保険料
40歳以上65歳未満の場合、介護保険料は健康保険料に含まれて支払っていますが、65歳以降からは単独での支払いとなります。
年金の支給額が18万円以上の人は、健康保険料と同様に、年金から天引きされます。
なお、「介護状態になれば終わる」と勘違いをする人がよくいますが、介護保険料は介護認定をされた場合も支払いの義務が発生し続けるため、留意しておけると良いでしょう。
1.3 所得税および復興特別所得税
公的年金は「雑所得」に区分されるため、一定以上の年金額を受給する場合は、所得税が課税されます。
また、「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」により、所得税とあわせて復興特別所得税もかかります。
所得税および復興特別所得税は、所得金額から各種控除額を差し引いた額に5.105%の税率をかけた額が、年金から天引き(源泉徴収)されます。
1.4 個人住民税
所得税と同様に、住民税も年金からの天引き対象です。
個人住民税の場合は、65歳以上で公的年金の支給額が年間18万円以上の人を対象に天引きされます。
なお、住民税は「前年の所得」に対して課税されるため、前年の所得が多い場合は住民税の負担が増える可能性があることも留意しておきましょう。
では、公的年金を受給していても「天引きされない」という人はどんな人なのでしょうか。次章にて確認します。