3. 厚生年金「月額15万円」のはずが…振込額が2万円ほど少ない!その理由とは?

「月額15万円」だと思っていたのに、振込額が2万円ほど少ない…その理由として考えられるのは「天引き」です。

先ほど確認した厚生年金の受給額は、全て「額面」となります。

老後に受給する公的年金においても「税金」や「社会保険料」が天引きされるため、実際の受取額は少なくなるのです。

天引き額はお住まいの地域や控除されるものなどによって個人で異なります。

現時点で将来の天引きされる税金や社会保険料の金額を把握することはできませんが、知識として「老後に受給する年金からは税金や社会保険料が天引きされる」ことを理解しておくと、実際の振込額とのギャップにガッカリする事態は避けられるでしょう。

4. 老後の年金「厚生年金」から天引きされる4つのお金

老後に受給できる公的年金から天引きされるお金は以下の4つです。

  • 介護保険料
  • 国民健康保険料・後期高齢者医療保険料
  • 所得税額および復興特別所得税額
  • 個人住民税

4.1 介護保険料

年金年額が18万円以上の方は、年金から介護保険料が天引きされます。

4.2 国民健康保険料・後期高齢者医療保険料

介護保険料と同様に、国民健康保険料も年金から天引きされます。

75歳以上になると国民健康保険に変わり、後期高齢者医療保険料が年金から天引きされます。

4.3 所得税額および復興特別所得税額

年金収入が一定額を超えると、社会保険料と各種控除額を差し引いた後の額に対して所得税が天引きされます。

4.4 個人住民税

年金収入が一定額を超えると、個人住民税も天引きされます。

なお、住民税は前年の所得に対して課税されるため、年度途中で天引き額が変わる場合があります。

上記のとおり、老後の大切な収入源となる公的年金からも税金や社会保険料が天引きされます。

額面の10~15%程度が天引きされると想定しておくと良いでしょう。

厚生年金の月額が15万円の場合、1万5000円~2万2500円が天引きされ手取り額は13万5000円~12万7500円となります。

15万円振り込まれると思っていたら、13万円前後だった…となると、家計収支に大きく影響するかもしれません。

5. 年金の仕組みを理解して老後に向けた生活設計を

本記事では公的年金制度について仕組みや、シニア世代の年金月額を確認してきました。

手厚いといわれる厚生年金でも、月額15万円(額面)を受給できる人は半数以下でした。

現役世代の人たちが老後を迎える頃には、年金給付水準はいまより低下している可能性もあります。

老後に向けて私的年金や貯蓄などで備えておく必要がありそうですね。

また老後に向けた生活設計を考える際には、本記事で確認した「天引き」も考慮しておきましょう。

参考資料

和田 直子