会社員として働いている人の中には、できるだけ早く会社を退職して年金生活を送りたいと思っている人も多いのではないでしょうか。

そのような人は、年金の繰上げ受給を検討しましょう。年金の繰上げ受給は、年金の受取開始時期を65歳よりも早められる制度です。ただし、年間の年金受給額は65歳から年金をもらう場合と比べて減額となります。

本記事では、老後資金2000万円ある人が、年金の繰上げ受給により60歳から年金を受け取り始めた場合、年金と老後資金2000万円だけで老後生活を送れるのかシミュレーションします。

年金受給額や老後の生活費を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

1. 繰上げ受給でどれくらい年金受給額が減るのか

まずは、繰上げ受給によりどれくらい年間の年金受給額が減るのか確認しましょう。

以下の条件で、受給開始年齢ごとの年金受給額をシミュレーションします。

  • 1974年1月1日生まれ
  • 平均年収400万円
  • 20歳~59歳まで会社員として勤務

シミュレーションの結果は以下のとおりです。

【写真3枚】1枚目/受給開始年齢ごとの年金受給額シミュレーション(平均年収400万円の場合)、2枚目以降/老後の家計収支など

受給開始年齢ごとの年金受給額シミュレーション

出所:厚生労働省「公的年金シミュレーター」を基に筆者作成

1.1 受給開始年齢ごとの年金受給額

受給開始年齢 年間年金受給額

  • 65歳 160万円
  • 64歳 153万円
  • 63歳 145万円
  • 62歳 137万円
  • 61歳 130万円
  • 60歳 122万円

60歳から年金の受取を開始する場合、年金の受給額は年間122万円となります。65歳から受取を開始する場合の受給額は年間160万円のため、繰上げ受給により年間38万円受給額が減る計算です。

もちろん現役時代の平均年収などによって受給額は異なりますが、本記事では平均年収400万円の会社員を前提にシミュレーションを進めます。

さて、60歳から年金の受取を開始する場合の年金受給額は年間122万円となることを確認しました。月額約10万円の年金収入で、長い老後生活をやりくりできるのでしょうか。

次章で老後生活における平均支出額を確認し、老後資金が2000万円あれば60歳から繰上げ受給して年金生活を開始しても大丈夫かどうかを検証してみます。