妻にとっては全く育児に協力的でない夫。しかし、当の本人は、「自分は育児に積極的に参加しているイクメンだ」と自信たっぷり。こんな夫婦間の温度差に悩まされている方も多いのではないでしょうか。

この考え方の相違は、夫の「やってるつもり育児」に原因があるようです。妻にとって大きな悩みの種のひとつであるやってるつもり育児、どのように対処すればよいのでしょうか。

それできちんとやってるつもり?

子どもがある程度成長するまで子育てに必要なのは、夫婦が協力し合うこと。いくら専業主婦とはいえ、ワンオペ育児は心身ともに負担が大きくなってしまいます。

子どもが生まれる際に夫婦で話し合い、育児の役割分担を決めた、という方も多いのではないでしょうか。たとえば、子どもの入浴は夫の役目、土日は夫が子どもと遊び妻に自由な時間をあげる、共働きの場合は、朝、夫が子どもを保育園へ送っていくことを日課にしている家庭もあるかもしれません。

このように文面だけ見ると、「旦那さん、育児に協力的じゃない。さぞ奥さんは旦那さんに感謝していることでしょう」なんて思うかもしれませんね。しかし実際は、夫の育児に対する協力姿勢に不満を持っている、という人が結構多いのです。

原因は夫の「やってるつもり育児」。平日、子どもの入浴は夫の役目のはずなのに、残業や飲み会続きで結局妻が子どもをお風呂に入れている、土日は子どもと遊んであげる約束なのに、気付けば携帯動画を子どもに見せて自分はいびきをかいて寝ている…。

そのことを非難しても、「え? できるときはちゃんとやってるじゃん」「君の手をわずらわせなかったでしょ?」という返答。結局、夫婦2人で協力して育児を行なっている、自分は育児をきちんとやっている、と思っているのは夫だけ。妻は夫に対して不満とストレスを蓄積させているのです。

夫を褒めてその気にさせる

やってるつもり育児の改善策のひとつとして有効なのが、夫を褒めてその気にさせてあげることです。たとえば、夫が子どもをお風呂に入れてくれたときに「本当に助かる! ありがとう! そのまま寝かしつけまでしてくれれば、ありがたいな。本当にいつもありがとう」と、もう一歩踏み込んだ手助けを依頼してみるのはいかがでしょう。妻に感謝されて嬉しくない夫はいないはず。きっと気分良く育児に協力してくれるでしょう。

友人や両親の前でだけ、育児に積極的な態度を取るタイプの夫にも、褒めてやらせるのが効果的。「ママ友の○○さんに、『旦那さん、いつも子どもと遊んであげて素敵ね。イクメンの夫でほんとにあなたは幸せね』と言われたの。本当にその通りだと思うわ。なので『そうなの。優しい夫で感謝しているの。また来週の土曜も、子どもを公園へ連れて行ってくれると思うわ。本当にありがたいわ』と答えたの」などと、他の奥さんにも褒められている、ということを伝えてあげると、より一層張り切って育児に参加することでしょう。

「あなたとお風呂に入ると、子どもがぐっすり眠るの」「なぜかあなたがオムツ替えすると、子どもの機嫌がいいの」など、子どもの反応がいいということを夫に伝えるのもアリです。きっとさらに父親としての自覚が増し、育児に積極的に参加することでしょう。

「やってるつもり育児」の夫は、そもそも育児に協力する気持ちはあるのですから、褒めてあげることで、受動的な育児から能動的な育児へとシフトチェンジしてくれるかもしれません

指導して改善させる

「できてないものはできてない」と夫にダメ出しをして、改善させるのもいいでしょう。このとき大切なのは、感情的にならずに理路整然と問題点や改善点を述べること。

「あなた、育児やってるやってる、といっても何にもやってないじゃない!」なんて泣きわめいても、「俺だって仕事が忙しいのに、できることはきちんとやってるよ」と返されるのがオチ。「あなたは、平日、子どもをお風呂に入れるのは自分の役目と言ったはずなのに、この1週間、残業続きでできていないわ。もしできないのなら、せめて土日の寝かしつけを行なう、朝のおむつ替えはするなど、できることを替わりにしてほしいんだけど」などと、具体案を提示してあげましょう。

やってるつもり育児の夫は、結局「やる気はあるけれど何をしていいのかわからない」と思っている人がほとんどなのです。そのため、「言われたことだけを、できるときだけやっている」状態になってしまいがち。「言われなくても察してほしい」という気持ちもわかります。しかし、それができるような夫ならば、不満なんて最初から生まれないはず。できないことを嘆くより、できる夫に育ててあげるのもひとつの方法です。

まとめ

やってるつもり育児の夫を褒めて改善するのが良いのか、指導して改善するのが良いのか、それは夫の性格によって異なります。自分の夫はどちらが適正なのかをしっかりと見極めて、「やってるつもり育児」を「本当にやってる育児」に変えてあげましょう。子どもを育てるだけで大変なのに、夫も育てなければいけないのか…とげっそりしてしまうかもしれませんが、改善できれば後々の子育てがグンと楽になるはずです。

大中 千景