2. 月15万円受給できる人の年収はいくら?

貯金額の試算の前に、月15万円年金を受給できる人は現役時代にいくら稼いでいたのか、現役時代の平均年収を導きだしてみましょう。

<条件>

  • 2003年4月以降に40年間(480ヵ月)厚生年金に加入
  • 基礎年金は2024年度の満額(年額81万6000円)とする

<計算式>

平均年収÷12×0.005481×厚生年金の加入月数=厚生年金の報酬比例部分

厚生年金の報酬比例部分=15万円×12ヵ月-81万6000円=98万4000円
平均年収÷12=98万4000円÷(0.005481×480)≒37万4000円

平均年収は約448万8000円となりました。

年金を月15万円受給できる人の年収はおよそ450万円ということがわかりました。

国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均給与は458万円なので、年収でみても平均的であることがわかります。

3. 1人暮らしの生活費はいくら?

ここからは、月15万円の年金で生活ができるのか、総務省の家計調査から1人暮らしの生活費をみてみます。

65歳以上の単身者の1か月の生活費

65歳以上の単身者の1か月の生活費

出所:総務省「家計調査/家計収支編/単身世帯/2023年/第2表 男女,年齢階級別/65歳以上」をもとに筆者作成

1か月の生活費は約15万円ということがわかりました。

しかし、この調査の対象世帯の持家率は85.1%であるため、住居費が低くなっています。

老後の住まいが賃貸である場合は、家賃の支払いがあるため、住居費はもっと高くなるでしょう。

ただし、家賃はお住まいの地域や住居の種類によって幅があります。

ここでは、家計調査の「住居の所有関係別の民営借家」の全国平均である「5万3691円」を賃貸住まいの人の住居費として試算したいと思います。

  • 持ち家の人の生活費:14万9033円…約15万円
  • 賃貸の人の生活費:18万9621円…約19万円

老後に賃貸の場合は、約19万円を生活費として考えなければならないため、持ち家の人よりも老後資金が多く必要になります。

年金を月に15万円受給できても、その金額をすべて生活費にはできません。

次章では、年金から引かれるお金について詳しく解説していきます。