2. 70歳代世帯の貯蓄「平均と中央値」はどのくらいなのか?

次は、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査 令和4年調査結果」から、70歳代世帯の貯蓄事情に関するデータを見ていきましょう。

2.1 70歳代世帯・単身世帯の貯蓄額「平均と中央値」

  • 平均:1433万円
  • 中央値:485万円

2.2 70歳代世帯・二人以上世帯の貯蓄額「平均と中央値」

  • 平均:1905万円
  • 中央値:800万円

70歳代世帯の貯蓄額の平均を見ると、単身世帯で1433万円、二人以上世帯で1905万円です。ただしこれは貯蓄がまったくない世帯から、いわゆる富裕層までを含めた平均額。

より実態に近い中央値で見た場合、単身世帯は485万円、二人以上世帯は800万円にまで下がります。

3. 介護費用の平均は「在宅でひと月4万8000円、施設なら12万2000円」

年金や貯蓄に関するデータを見たあとは、冒頭で触れた介護費用に関する調査データにも触れてみましょう。

生命保険文化センターの「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」では、在宅介護、施設介護それぞれにかかった月額費用に関するデータを見ることができます。

3.1 介護費用の平均額

平均的な介護費用は以下の通り。こちらの金額は、公的介護保険サービスの限度額を超えた場合の自己負担額も含まれています。

  • 一時的な費用合計(介護用ベッド購入や住宅費用など):74万円
  • 月額平均(在宅介護):4万8000円
  • 月額平均(施設介護):12万2000円
  • 介護期間平均:61.1カ月

ここから計算すると、平均的な介護期間(約5年)にかかる介護費用は、在宅介護で約370万円、施設介護で約820万円という結果に。

施設介護であれば、介護付き有料老人ホームなどの民間施設、特別養護老人ホームなどの公的施設、どちらを利用するかによってもだいぶ変わるでしょう。前者の場合、入居時に数百万円の一時金が必要となることも。

夫婦世帯であれば二人が同時に施設入所となった場合の資金面についても頭に入れておく必要があるのかもしれません。

また、要介護度が上がれば介護保険サービスの自己負担費用も増えます。「いつから、どの程度必要になるか」が読みにくいのが介護費用の難しさ。

施設入居中に利用料が支払えなくなり退去を余儀なくされるという事態は避けたいところです。

さいごに見ていきたいのが、シニア世代の「介護費用の捻出」に関する意識調査の結果です。