きたる2025年は団塊の世代がすべて75歳以上の「後期高齢者」となる年です。すでに年金生活が始まっているシニア世代、さらにはその子ども世代の中には、「介護費用」への不安を持つ人も多いでしょう。
2024年1月19日、厚生労働省が2024年(令和6年)度の年金額の例を公表し、前年度(2023年度)から2.7%引き上げられることに。
この年金額は、6月に支給される「4・5月分の年金」から適用されますが、昨今の物価上昇には追い付いていないのが現状です。
現役時代の年金加入状況により老後の年金額には個人差が出てきますし、介護にかかる費用にも個人差があります。とはいえ、公的年金や介護費用に関するデータを見ることで何らかの見通しを立てるヒントにはなるでしょう。
今回は最新版の年金データに加えて介護費用に関するデータについても整理していきます。
1. シニア世代「老齢年金」みんなの平均はいくら?
最初に年金について見てみましょう。シニアが実際に受け取る公的年金は、現役時代の働き方や年収などにより人それぞれです。
厚生労働省が2023年12月に公表した「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」では、いまのシニア世代がどのくらい年金を受給しているかを見ることができます。
1.1 国民年金のみを受け取る場合
国民年金(老齢基礎年金)の受給額
〈全体〉平均年金月額:5万6316円
- 〈男性〉平均年金月額:5万8798円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4426円
受給額ごとの人数
- 1万円未満:6万5660人
- 1万円以上~2万円未満:27万4330人
- 2万円以上~3万円未満:88万1065人
- 3万円以上~4万円未満:266万1520人
- 4万円以上~5万円未満:465万5774人
- 5万円以上~6万円未満:824万6178人
- 6万円以上~7万円未満:1484万7491人
- 7万円以上~:178万3609人
ずっと自営業や専業主婦(主夫)だった人など、国民年金(基礎年金)のみを受け取る場合は、平均年金月額は男女ともに5万円台。では、厚生年金はどうでしょう。
1.2 厚生年金を受け取る場合
厚生年金(老齢厚生年金)の受給額※国民年金の金額を含む
〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
受給額ごとの人数
- 1万円未満:6万1358人
- 1万円以上~2万円未満:1万5728人
- 2万円以上~3万円未満:5万4921人
- 3万円以上~4万円未満:9万5172人
- 4万円以上~5万円未満:10万2402人
- 5万円以上~6万円未満:15万2773人
- 6万円以上~7万円未満:41万1749人
- 7万円以上~8万円未満:68万7473人
- 8万円以上~9万円未満:92万8511人
- 9万円以上~10万円未満:112万3972人
- 10万円以上~11万円未満:112万7493人
- 11万円以上~12万円未満:103万4254人
- 12万円以上~13万円未満:94万5662人
- 13万円以上~14万円未満:92万5503人
- 14万円以上~15万円未満:95万3156人
- 15万円以上~16万円未満:99万4044人
- 16万円以上~17万円未満:104万730人
- 17万円以上~18万円未満:105万8410人
- 18万円以上~19万円未満:101万554人
- 19万円以上~20万円未満:90万9998人
- 20万円以上~21万円未満:75万9086人
- 21万円以上~22万円未満:56万9206人
- 22万円以上~23万円未満:38万3582人
- 23万円以上~24万円未満:25万3529人
- 24万円以上~25万円未満:16万6281人
- 25万円以上~26万円未満:10万2291人
- 26万円以上~27万円未満:5万9766人
- 27万円以上~28万円未満:3万3463人
- 28万円以上~29万円未満:1万5793人
- 29万円以上~30万円未満:7351人
- 30万円以上~:1万2490人
会社員や公務員など、厚生年金に加入して働いていた人であれば、国民年金に上乗せして厚生年金を受け取ります。国民年金を含む厚生年金の平均月額は、男性で16万3875円、女性平均10万4878円。
平均額だけを比較するとかなり手厚い印象はあります。しかし上記の年金額一覧からも分かるように、厚生年金の受給額は現役時代の収入や年金加入期間などによって大きな個人差が出ます。
また、介護保険料や住民税など、年金から天引きされる社会保険料や税金についても考慮しておく必要があります。