2. 高齢者の家計が圧迫される要因
高齢者の家計が圧迫される要因を、以下の項目から確認します。
- 社会保険料の引き上げ
- 物価高
- 電気・ガスの補助金を打ち切り
それぞれのポイントについて解説しましょう。
2.1 社会保険料の引き上げ
高齢者の家計が圧迫される要因の1つに、社会保険料の引き上げがあります。
実際に、2024年4月より以下の社会保険料が引き上げられました。
- 介護保険料
- 後期高齢者医療保険料
介護保険料については、年間所得が420万円以上の方の保険料が引き上げられました。
また、後期高齢者医療保険料も、2024年度から引き上げられています。
厚生労働省が2024年4月1日にまとめた「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について」によると、保険料の全国平均が、月額で7000円を超えました。
- 2024年度:月額7082円
- 2025年度:月額7192円
保険料の全国平均が月額7000円を超えるのは、制度が始まって以降初めてです。
以上から、社会保険料の値上げが家計の圧迫に影響すると考えられるでしょう。
2.2 物価高
総務省統計局が2024年3月22日に発表した「消費者物価指数」から、物価高がどこまで進行しているのか確認しましょう。
2024年2月分の総合指数は106.9で、2023年2月比で2.8%上昇しました。
前年同月比では30ヵ月連続の上昇となっています。
さらに、現在の指数は政府の支援策によって抑えている側面もあります。
特に電気やガスといった項目は、5月末で打ち切られる予定です。
どのような補助金となっているのか、確認しましょう。
2.3 5月末で打ち切りが予定している電気・ガス補助金
政府が実施している制度は、電気やガスの使用量に応じて補助金を支給して、料金の値引きを行います。
4月使用分まで、電気は1キロワットアワーあたり3.5円、ガスは1立方メートルあたり15円の値引きです。
標準世帯では、電気代は月額1400円、ガス代は月額450円と価格を抑える効果があります。
5月使用分は、補助額をそれぞれ半額にする予定です。
6月以降は、補助が打ち切られるので、今後の負担は重くなるでしょう。
では、老後生活を豊かにするために、どのような対策を取るべきか解説します。
3. 老後生活で踏まえておきたい対策
長い老後生活を過ごすうえで、以下のポイントを見つめ直す必要があります。
- 支出項目を見直す
- 定年後も働いて収入を得る
- 公的年金の支給を遅らせる
基本的な対策として、支出項目を見直すことが重要です。
老後生活を迎えて、これまでより支出を抑えられる項目がないか確認しましょう。
支出を見直すだけで生活が満足に送れない場合、働いて収入を得る選択肢も視野に入れてください。
収入が得られるようになれば、公的年金に頼る必要がなくなります。
収入が得られれば、年金を受け取るタイミングを遅らせて、支給額を増やしてください。
4. 老後生活を送るうえで適切な計画が重要
老後の生活は、収入や支出を現役世代より厳しく管理する必要があります。
高齢者それぞれの収入と支出のバランスは異なります。
そのため、自分の公的年金として受け取れる金額や支出を、前もって確認したうえで、生活設計をしてください。
参考資料
- 日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について」
- 総務省統計局「消費者物価指数 2024年2月分」
- 経済産業省エネルギー資源庁「電気・ガス価格激変緩和対策事業」
川辺 拓也