大阪バブル:異常な地価上昇でインバウンド景気は転換点に?

宿泊代高騰で外国人観光客数増加が減速か

2018年の公示地価、大阪圏の商業地が引き続き大幅上昇

国土交通省が3月27日に発表した公示地価(2018年1月1日現在)によると、商業地が+1.9%上昇(3年連続のプラス)、住宅地が+0.3%上昇(2年連続のプラス)、全用途が+0.7%上昇(3年連続のプラス)となりました。いずれの上昇率も昨年を上回っています。

今回の特徴の1つは、地価上昇が地方都市に波及したことですが(詳細は省略)、3大都市圏における商業地の上昇が続いていることも見逃せません。特に、大阪圏の商業地の地価上昇が際立っています。昨年(2017年)は、商業地の「上昇率」で全国上位5位全てを大阪市が占めました。

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今年は地方都市の商業地が総じて上昇したため、昨年のような独占状態にはなりませんでしたが、全国の上昇率第2位(商業地)に、昨年トップだった道頓堀1丁目にあるフグ料理店「づぼらや」前がランクインしています。ちなみに、当該地(づぼらや前)の地価上昇率は、以下のように推移しています。

  • 平成27年:+  9.8%(-----)
  • 平成28年:+40.1%(2位)
  • 平成29年:+41.3%(1位)
  • 平成30年:+27.5%(2位)

注)上昇率は対前年比。カッコ内は上昇率の全国順位、平成27年は10位圏外。

このように、直近わずか4年間で約+2.8倍に跳ね上がっていることが分かります。元々地価が高い大都市圏での商業用地価が、4年間で3倍弱に上昇するのは、明らかに“異常”と言っていいでしょう。

2015年以降の「来阪外客数」は急拡大

大阪の商業地価の上昇を支えている最大の要因は、何と言っても外国人観光客の急増です。

訪日外国人観光客のうち大阪に立ち寄った「来阪外客」は、2012年203万人(+28%増)→2013年263万人(+24%増)→2014年376万人(+43%増)→2015年716万人(+91%増)→2016年941万人(+31%増)→2017年1,111万人(+18%増)と推移しています(出所:大阪観光局、2017年は速報値)。特に、2015年以降の伸び率が急拡大していることがわかります。

ちなみに、東京に立ち寄った「来都外客」は、2012年556万人(+36%増)→2013年681万人(+22%増)→2014年887万人(+30%増)→2015年1,189万人(+34%増)→2016年1,310万人(+10%増)→2017年1,390万人(+6%増)であり、大阪に比べると明らかな頭打ち傾向が見られます(出所:東京都産業労働局、2017年は筆者推定)。

もちろん、訪日外国人観光客の中には、東京と大阪の両方に行く人も少なくないと見られますが、大阪の人気が高まっていることは間違いありません。外国人観光客にとって、大阪の魅力は何でしょうか?

外国人の人気スポットは道頓堀、大阪城、USJの3つだが…

前出の大阪観光局が実施した『関西国際空港 外国人動向調査結果』(平成29年度第3期)によれば、「訪れた場所」の第1位が道頓堀(難波、心斎橋)、第2位が大阪城、第3位はユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下USJ)でした。

また、「訪れた結果お勧めしたいと思った」第1位がUSJの86%、第2位が道頓堀の75%、第3位が海遊館の67%、大阪城は第4位の64%という結果でした(訪問サンプル件数が極端に低いものを除く)。

平成28年度調査結果と比較すると、大阪城の満足度がやや低下しています。また、訪問順位では日本橋が大きく伸長したものの、満足度は非常に低い結果となっているようです。

ただ、本当にザックリ言うと、道頓堀、大阪城、USJの3か所の人気が依然高く、通天閣、梅田スカイビル空中展望台、観覧車“HEP FIVE”などを引き離しているのが特徴と言えましょう。

大阪城から見たビジネス街

東京観光にはない“コンパクトな利便性”が理由の1つに

この調査結果に大阪が人気観光地である秘密、とりわけ東京との比較において、そのカギがあると考えられます。

まず、これら人気スポットは4位以下も含めて、道頓堀を中心に集約されています。確かに、“徒歩圏にある”というのは言い過ぎですが、たとえば、午前に大阪城、午後にUSJ、夜に道頓堀というように、その気になれば1日で周ることが可能です。

仮にUSJで1日丸々費やしたとしても、翌日に大阪城、通天閣、梅田スカイビル、HEP FIVEを全て周ることは難しくないはずです。このコンパクトな利便性は、東京観光では難しい、というよりも不可能かもしれません。

また、アジア系外国人が非常に興味を示す「城」が東京にないことも理由の1つに挙げられましょう。

加えて、大阪に宿泊することで、京都、神戸、奈良などに訪問しやすくなることも、来阪外客の大幅増加傾向を支えていると考えらえます。

道頓堀のランドマークの一つ、ずぼらやのフグ

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LIMO編集部

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