新築マンションの価格が高騰しています。円安による資材価格の高騰、大工の人件費高騰がマンション価格に影響しているのです。例えば2014年末に発売された野村不動産の「プラウドタワー立川」は坪単価が約200〜250万円程度のエリアにもかかわらず、なんと340万円という強気の値段で販売を開始し、即日完売しました。

「少しでも値段を安く、新築マンションを買いたい!」という方の為に、今回はプロだけが知っている新築マンションを格安で手に入れる方法をこっそりお伝えします。

マンションディベロッパーの決算期を狙う

売れていないマンションというのは、会社の会計上好ましくありません。「まだこんなに売れていないマンションがあるのか」と株主に評価されてしまい、株価が下がってしまうからです。洋服でも自動車でも「決算総セール」をやりますが、実は新築マンションにも決算総セールが存在するのです。もちろん、洋服や自動車のように広告でお客に伝える事はしません。

新築マンションの値引きをしてくれる時期

では、いつ決算総セールをやっているのか。それは2月末から3月の第一週にかけてです。新築マンションは契約してからお客様に引き渡すまで、完成しているマンションでも住宅ローンの審査などで約1ヶ月かかります。3月末に引き渡すためには2月末から3月の第一週がギリギリ最後のタイミングなのです。このタイミングで価格交渉に挑む事で、大幅値引きを引き出すことが出来るのです。

住宅ローンの事前ローン審査をしておく

新築マンションは購入の申し込みをしても、住宅ローンの審査が通らない限り購入することは出来ません。通常この住宅ローン審査は契約書を締結した後に銀行に申し込みますが、あえて契約書を締結する前に住宅ローンの事前審査をしておくことがポイントです。事前審査は銀行に言えば5~10営業日でやってくれます。事前審査が通れば、契約書締結後の本番ローンもほぼ間違いなく通ります。

営業マンに事前ローンで安心感を与える

営業マンは住宅をお客様に勧めながら「本当にこの人はマンションを購入出来る人か?」ということを心配しています。ものすごくお金持ちそうに見えても、実際には年収が低くてマンションを購入出来ない、ということがとても多いからです。マンションが購入出来るかどうか分からない人に対しては、営業マンも値引きをする気にはなりません。逆に事前審査を済ませておき「値引きさえしてくれれば、私は間違いなく買えますよ」と営業マンを安心させることで値引きを引き出す事が出来ます。

新築マンションの営業キーマンに値下げ交渉してもらう

新築マンションには担当の営業マンが何人もいます。このとき、なるべく年長者でキーマンの営業マンに担当してもらうことで、値引きを引き出しやすくなります。最終的にそれぞれのマンションを値引きするかどうかは、マンションの販売を統括している「所長」が決定しています。決定するのは所長ですが、この所長への影響力が強い営業マンと弱い営業マンがいます。影響力が強いのは「年長者で、売り上げがいい花形営業マン」です。影響が弱いのは「若くて、売り上げが悪い営業マン」です。若かったり、売り上げが悪い営業マンは社内で立場が弱くなり、上の人間と交渉することが出来ません。売り上げの悪い営業マンが何か言っても「何言ってんだお前」とあしらわれてしまいます。逆に売り上げがいい営業マンは「これだけ値引きすれば、間違いなくお客様と契約出来ます」と上の人間を納得させることが出来るのです。

営業キーマンの見分け方

売り上げがいい営業マンの見分け方は、ずばり「印象」です。30分程度接客をしてもらえば、その営業マンに対して「良い印象」か「悪い印象」を持つはずです。この印象がいい営業マンこそ、売り上げがいい営業マンです。何か質問をして、回答出来なかったり、頼りなかったり、不快感を感じたら営業マンに対して印象が悪くなると思います。この印象が悪い営業マンは、売れない営業マンです。自分を担当した営業マンの印象が悪ければ、他の営業マンに対して「営業担当を変えて下さい」と伝えましょう。少し気が引けるかもしれませんが、絶対に変えてくれます。不動産会社にしてみれば、営業マンが悪い事で貴重なお客様を逃すのは、絶対に避けたい状況だからです。

完成から時間が経っている新築マンションを狙う

新築マンションを販売するのには莫大な費用がかかります。モデルルームの水道光熱費や広告費に加え、営業マンを販売センターに立たせているだけでも人件費が垂れ流しになります。不動産会社はなるべく早くマンションを完売させ、コストを止めたいと思っています。また時間が経てば経つほど「売れ残りマンション」という烙印を市場から付けられ、ますます売れにくくなるという悪循環も存在します。

特に完成から時間が経っている新築マンションは今すぐにでも完売させないといけません。そこで新築マンションの広告を見て、新築マンションが完成してからどのくらい時間がかかっているかしましょう。確認する箇所は、広告の中の「物件概要」です。物件概要の中で竣工から半年以上時間が経っていれば値引きの可能性が大です。

家具つきモデルルームを販売している新築マンションを狙う

「モデルルームとして使っていたので、サービスで家具を付けて販売致します!」というキャンペーンが始まったら、その新築マンションは大幅値引きの可能性があります。広告上ではあくまでも「モデルルームとして使っていたから」という言い訳をしていますが、実際に販売所にいくと「他のお部屋でも同じサービスをご提供しますよ」という営業トークが始まり、最終的には値引きを引き出せます。家具付きモデルルームというのはあくまでも集客のための方便で、実際には販売に苦戦しているので値引きをしてでも売り切りたいというのが不動産会社の本音なのです。家具付きのモデルルームではなく「オプションを100万円分付けます!」というのもよく使われる広告フレーズです。

値引きをしないマンションディベロッパーを避ける

マンションディベロッパーの中には、全く値引きをしない会社もあります。それは、住友不動産です。普通、不動産会社はマンションが完成すると一刻も早くマンションを完売させたいと思い、マンションの値引きを行います。しかし住友不動産だけは「建物が完成してから、時間がかかっても値引きしないで売る」というモットーがあるため、全く値引きを行いません。

また会社として赤字に陥っている不動産会社も、値引きをすると赤字が拡大するため値引きを行いません。こういった会社にはいくら交渉しても無駄なので、避けるようにしましょう。

まとめ

新築マンションは洋服などの他の商品と異なりおおっぴらに「値引きします!」とは広告が出ません。値引きの広告を出すと、既にマンションを購入している他の人から「ウチは値引きされなかったぞ!」とクレームが入ってしまうからです。あくまでも一人一人のお客様に対して営業マンが「ひっそりと」値引きの話を持ちかけてくるのです。営業マンが「値引きをしてもどうしても売りたい!」というタイミングを抑え、アプローチすることで値引きを引き出してください。

またいくら値引きをされたとしても、そのマンションが資産価値の無い売れ残り物件や、ご自身のニーズとかけ離れたマンションでは、購入する意味がありません。値引きされなかったとしても、そのマンションがご自身のニーズと合い、相場からいってリーズナブルな価格設定であれば購入するべき場合もあります。値引きだけにとらわれず、総合的な観点から意思決定して頂ければと思います。

また、中古マンションは売主と買主両方の合意に基づいて成約価格が決定するため、中古マンションは値引きを行うことが可能です。新築、中古どちらを購入するかお悩みの方は、こういった点もぜひ考慮してみてくださいね。

著者について
(株)Housmart(ハウスマート)代表取締役 針山 昌幸

一橋大学で経済学を学ぶ。大学卒業後、大手不動産会社で不動産仲介、用地の仕入、住宅の企画など幅広く担当。顧客の利益が無視された不動産業界の慣習や仕組みを変えたいと志す。

2011年、楽天株式会社に入社。大手企業に対し、最新のマーケティング・ビックデータ・インターネットビジネスのノウハウを元にコンサルティングを行う。

2014年9月株式会社Housmartを設立し、代表取締役社長に就任。最新のマーケティング手法を駆使した中古マンションの売買を行っている。

著書「中古マンション本当にかしこい買い方・選び方」がAmazonランキング・ベストセラー1位(マンションカテゴリー)を獲得。Housmartの経営を執り行う傍ら、テレビや雑誌への出演など、マンション専門家としての活動も行う。

マンションジャーナル