3. 平均月収が約40万円だった人の年金見込額はいくら？

平均月収が約40万円というのは、厚生労働省が公表する年金額の「モデル例」に該当します。

「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」には、下記の記載があるのです。

2024年度の年金額の例

2024年度の年金額の例

出所：厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」

上記の厚生年金の部分をみると、令和6年度の夫婦2人分の年金月額は「23万483万円」となっています。

上記に該当する「標準的な夫婦の指標」として下記の要件が設けられています。

  • 夫（厚生年金に加入）：平均的な収入（平均標準報酬（賞与含む月額換算）43万9000円）で会社員として40年間就業
  • 妻（国民年金のみに加入）：40年間専業主婦もしくは自営業（もしくは扶養内パートなど）

要件をみると、現役時代の収入が月額約44万円だった場合、夫婦で年金月額20万円を達成できることになります。

妻の年金額「6万8000円」を差し引くと16万2483円となるため、夫婦ではなく一人での年金を考えれば、15万円前後の年金になることがわかります。

月収約40万円だった人が、年金15万円程度になると考えると、落胆してしまう方もいるでしょう。

なお、こちらはボーナス等を勘案しない概算となります。現役生活の全てをとおした標準報酬額を把握している方は少ないと思われますので、くわしい見込額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」などで確認しておきましょう。

厚生労働省が運営する年金シミュレーターでは、年齢ごとの年収を細かく区切り、シミュレーションすることも可能です。

4. 年金「月額20万円」受給する人の現役時代の年収はいくら？

年金生活になれば収入が減るのは当然とわかっていても、年金を月額20万円はほしいと考える人もいるでしょう。

では、厚生年金「月額20万円」の人の、現役時代の収入はいくらくらいなのでしょうか。試算してみます。

厚生年金の受給額は、「2003年3月以前」と「2003年4月以降」で計算式が異なります。

  • 2003年3月以前の加入期間：平均標準報酬月額(※)×（7.125/1000）×2003年3月以前の加入月数
  • 2003年4月以降の加入期間：平均標準報酬額×（5.481/1000）×2003年4月以降の加入月数

本章では、2003年4月以降に厚生年金に加入したとして、年金月額20万円の人の現役時代の年収目安を算出していきましょう。

試算条件は下記のようになります。

  • 国民年金受給額（満額）：81万6000円
  • 厚生年金加入期間：40年間

平均標準報酬月額の計算方法は下記のとおりです。

厚生年金「月額20万円」を受給すると想定した場合、年間で240万円を受給することになります。

国民年金81万6000円を差し引くと、厚生年金から158万4000円受給する必要があるため、平均標準報酬月額は下記のように計算できます。

  • 平均標準報酬額×5.481/1000×480ヶ月（40年間）＝158万4000円（1年間の国民年金を差し引いた厚生年金の受給額）
  • 平均標準報酬額=約60万円

上記の計算式から、40年間の平均年収が「約720万円」であれば、厚生年金として月額20万円を受け取れます。

厚生年金として月額20万円を目指すには「40年間継続して年収約720万円が必要」と言われると、ハードルが高いものといえるでしょう。

5. 将来の年金を充実させるためには

今回は、平均月収が約40万円という人の年金見込み額や、「年金を月額20万円」受け取れる人の、現役時代の平均年収を紹介していきました。

年金を将来より多く受給するためには、長く働き、長く年金の保険料を納める必要があります。平均寿命が伸びているいま、70歳まで働く人も増えています。

場合によっては「年金の繰下げ支給」を活用する選択肢もあるでしょう。

現時点で自分が将来どれくらいの老齢年金を見込めるかを知りたい方は、「ねんきん定期便」や日本年金機構の「ねんきんネット」を使ってみるのがおすすめです。

老後対策の第一歩としてまずは自分の年金額を把握してみることが重要です。

参考資料

堀江 啓介