「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(女性活躍推進法)は、2015年に職業生活において女性の活躍推進の取り組みを着実に進めるため制定されました。

こちらは2025年度末までの期限が設けられた時限法ではありましたが、女性の活躍推進の状況が発展途上であることから、10年の延長が検討されています。

男性と女性では働き方にどのような違いがあり、年収もどの程度の差が生まれてしまっているのでしょうか。データをもとに女性の社会進出とその活躍の現状について考えていきます。

※金額等は執筆時点での情報にもとづいています。

1. 【20~70歳代】平均年収はどれぐらいか

国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」から、20〜70歳代の平均年収を見ていきましょう。

上記調査より、男女別の各年代の平均年収をみてみると、男性は年代が上がるにつれて年収が上がっていくのですが、一方で女性は横ばいから緩やかに減少するとがわかります(【図表1】参照)。

【写真5枚】年齢階層別・平均給与や女性の雇用形態、実は3種類ある年収の壁も図解1/5

年齢階層別・平均給与

出所:国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」

男性の場合は、50歳代まで平均年収は上がり続け、55〜59歳でピークである「712万円」となります。社会に出てから安定的に増えるというのが特徴でしょう。

一方、女性の場合は、20歳代後半から50歳代まで平均年収が300万円台前半と横ばいな状態が続いており、最も高い平均年収でも25〜29歳で「353万円」となっています。

また、男性の場合は日本全体の平均年収に到達する人が、比較的若い世代でも多い傾向にありますが、女性の場合はハードルが高い現状がみてとれます。

2. 女性の平均年収が低いのはなぜ?

年代が上がるにつれて、男女の年収に大きな差が生じています。

特に55〜59歳の平均年収では「男性が712万円」「女性が330万円」と、2倍以上も年収に違いがあるのがわかります。

では、なぜ男性よりも女性の平均年収が低くなってしまうのでしょうか。

男女の収入格差が生じている背景として、女性の場合は結婚や子育てなどをきっかけにキャリアが中断したり、「103万円の壁」というように世帯の課税を考慮して、仕事をセーブしていることが考えられます。

結果、「パートタイム」「アルバイト」といった正社員よりも短い時間帯で働く選択をする人が多いことが、要因の1つです。

実際に、厚生労働省の「第一子出産前後の妻の継続就業率・育児休業利用状況」によれば、女性の年齢階級別就業率は30歳代前半からパート・アルバイトの割合が増加し始めるということが確認できます。

【図表2】雇用形態別・女性の年齢階級別就業率2/5

雇用形態別・女性の年齢階級別就業率

出所:厚生労働省「今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会」

また、厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると正規雇用と非正規雇用とで賃金差が月10万円以上となっています。

一昔前よりも共働き世帯が増加していますが、女性の場合は正社員よりもパートで働く人のほうが多いことから、男女で収入に格差が生じているといえます。

3. 【男女別】年収ごとの割合

最後に、年収ごとの割合を確認していきましょう。

国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、男女における年収ごとの割合は下記の結果となりました。

【図表3】給与階級別給与所得者数・構成割合3/5

給与階級別給与所得者数・構成割合

出所:国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」

男性の平均年収のボリュームゾーンは「300万円超600万円以下」であり、この部分の割合だけで46.4%と全体の約半数を占めています。

とはいえ男性の場合は、年収区分にあまり偏りがないのが特徴で、女性よりも幅広い年収区分の人が多いです。

一方で女性の平均年収帯は「200万円以下」を占める割合が全体の34.6%となっており、約3人に1人は年収が100万円台であるとうかがえます。

ここまでみてきたように、女性の場合は結婚や子育てなどをきっかけに正社員からパートに働き方を変える人が多く、その際に「扶養内で働く」という選択をする人が一定数います。その結果として、年収帯「200万円以下」の割合が多くなっているのでしょう。

4. まとめにかえて

今回は、男女間の働き方の違いや年収格差について見てきました。

男性は安定して年収が増える傾向がある一方で、女性は結婚や子育てを機にキャリアが中断しやすく、その結果として年収に大きな差が生じる現状が浮き彫りになりました。

共働きが一般的となりつつありますが、家事や育児において女性に負担が偏る傾向がある現状では、女性活躍推進を推し進めることは難しいのではないでしょうか。

最後に、日本・イギリス・ドイツ・フランスの男女間賃金格差をご紹介します。

徐々に改善されているものの、日本における男女間賃金格差は大きいものとなっています。

男女間賃金格差を埋めるためのひとつの対策として議論されている施策が「年収の壁」の撤廃です。最後に、参考資料として「年収の壁」に関する詳細なデータも掲載しています。

これらを活用し、自分の働き方やキャリアプランを見直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

5. ご参考

「年収の壁」とはよく聞くけれど、103万円以外に何があるのか違いがわからない人も多いのではないでしょうか。

年収の壁は、税金に関わる壁、社会保険に関わる壁、配偶者手当に関わる壁の3種類の壁に分けることができます。

配偶者の収入が変動する「年収の壁」が語られることが多いですが、他にも種類があることはおさえておきましょう。

参考資料