定年後に給与が下がる再雇用制度では、働く人のモチベーション維持が難しいことが課題となっていました。しかし、近年は定年の延長や再雇用制度の刷新を行う企業が増えており、自動車メーカー大手であるマツダもその内の1社です。
マツダは2022年度以降、定年を段階的に引き上げ、65歳にすると発表しました。
60歳から定年年齢までの間であれば、退職時期を自由に設定できるとのこと。定年後も待遇を維持しつつ、より長く働ける環境づくりが進んでいます。
その背景には少子高齢化による人手不足などがあり、経験豊富なシニア世代を活用する狙いがあります。
とはいえ、待遇を維持したままシニア世代を雇用するのは、企業にとっては人件費の増加につながります。シニア世代の雇用を支援する動きは見られますが、すべての企業で均等に実施されているわけではありません。
今回は、日本における60歳以上の就業率や年収事情について深掘りしてみましょう。
1. 60~64歳の就業率は73.0%
内閣府「令和5年版高齢社会白書(全体版)」より、就業率の推移を見てみます。
<2022年時点での就業率>
- 60~64歳:73.0%
- 65~69歳:50.8%
- 70~74歳:33.5%
- 75歳以上:11.0%
60~64歳の就業率は73.0%であり、2012年と比べて15.3%増加しています。65歳以上においても就業率は伸びており、60歳代後半でも約半数が働いている状況です。
1.1 60歳以上の36.7%が「 働けるうちはいつまでも働きたい」
以下のグラフを見てみると、60歳代の36.7%が「働けるうちはいつまでも働きたい」と回答しており、シニア世代の多くが高い就業意欲を持っていることがわかります。
とはいえ、誰しもが正社員のまま働けるわけではありません。続いて、シニア世代の非正規雇用者率を見てみましょう。
1.2 60~64歳の非正規雇用者率は45.3%
男性の場合、55~59歳の非正規雇用者率は11.0%ですが、60~64歳になると45.3%に、65~69歳は67.3%に上昇します。
定年退職後は非正規の職員として働くケースが多く、それに伴い給与が低下するケースも少なくありません。
次に、年齢階級別・企業規模別の平均賃金を見てみましょう。