夫婦共に年金を受給している世帯で、夫が先に他界してしまった場合、遺された妻はいくら年金を受給できるのでしょうか。
これまでは2人分の年金で生活できていたものが、今後は1人分の年金でまかなわなければならず、経済的な不安を感じてしまうでしょう。
配偶者が亡くなった後は遺族年金が給付されますが、受給するには一定の要件を満たしている必要があります。
この記事では、遺族年金の受給要件を確認するとともに、厚生年金を受給していた夫が亡くなった場合、68歳の妻が今後受給できる年金額をシミュレーションしていきます。
1. 遺族厚生年金を受給できる要件
遺族厚生年金を受給するためには、厚生年金に加入していた方と受給者が、それぞれ以下の要件を満たす必要があります。
1.1 遺族厚生年金の受給要件
死亡した方が、以下のいずれかの要件を満たしているときに遺族厚生年金を受給できます。
- 厚生年金保険の被保険者期間に死亡した
- 被保険者期間に初診日がある病気やけがで、初診日から5年以内に死亡した
- 1級・2級の障害厚生年金を受け取っていた
- 老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡した
- 老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡した
なお、今回のケースでは夫は厚生年金を受給しているため、受給要件は満たしています。
1.2 遺族厚生年金を受給できる方
遺族厚生年金は、死亡した方に生計を維持されていた方のうち、優先順位の高い方が受給対象者になります。
- 子のある配偶者
- 子(※)
- 子のない配偶者
- 父母(55歳以上)
- 孫(子の条件と同じ)
- 祖父母(55歳以上)
※18歳到達年度の3月31日までにある子(障害等級1級・2級の場合は20歳未満)
子のない妻が30歳未満の場合は、5年間のみの受給になります。
また、子のない夫は55歳以上の方のみ受給可能で、受給開始は60歳からです。父母や祖父母も55歳以上の場合に受給でき、受給開始は60歳からです。
今回のケースでは、妻に子どもがいれば1番目に該当するため遺族厚生年金を受給できます。また、子どもがいなければ3に該当し、30歳未満ではないので受給可能です。
では、遺族厚生年金はいくらもらえるのでしょうか。次章で遺族厚生年金の計算方法を確認し、その後、68歳の妻が夫に先立たれた場合に遺族厚生年金をいくらもらえるのかシミュレーションしていきます。