児童手当の拡充案1.所得制限の撤廃

児童手当に対しては、さまざまな問題点が挙げられていました。

では、今回の少子化対策に対するたたき台では、どのような内容が盛り込まれているのでしょうか。

児童手当の拡充案3つ

  • 所得制限を撤廃
  • 支給期間を高校卒業まで延長
  • 多子世帯の減少などを踏まえ、諸外国の制度等も参考にしつつ手当額の見直し

上記について1つずつ見ていきましょう。

1つ目は所得制限の撤廃です。

子どものための児童手当ですが、現状は所得制限があり、また目安年収1200万円以上となると廃止になります。

財務省によれば、「子ども手当(平成24年から児童手当へ変更)」の創設とともに、0~15歳の年少扶養親族への扶養控除は廃止されています。

16歳以上(一定要件あり)にはある「扶養控除」ですが、その代わりに児童手当があります。しかし現在は目安年収1200万円以上の高所得者の場合、0~15歳では扶養控除も、児童手当もない状況になっています。

これに関してはさまざまな意見が挙がっており、撤廃となれば公平性が保たれると考えられます。

児童手当の拡充案2.支給期間を高校卒業までに

2つ目が支給期間を「中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)」から高校卒業までの延長とする案です。

では、児童手当をすべて貯金した場合の金額例を試算してみましょう。

【児童手当】0~3歳まで1万5000円、3歳~中学生まで1万円の場合

  • 0~3歳未満:1万5000円×12カ月×3年=54万円
  • 3歳以上~中学生:1万円×12カ月×12年=144万円
  • 高校生:1万円×12カ月×3年=36万円

54万円+144万円+36万円=234万円 ※実際は生まれた月等により金額は異なります。

上記の例で試算した場合、単純に計算するとこれまでは198万円となり、高校卒業までとなれば234万円になります。

お子さんを育てる方が特に気になるのが大学費用です。大学4年間の授業料と入学料を試算しましょう。

大学4年間の学費

  • 国立大学53万5800円×4年間+入学料28万2000円=242万5200円
  • 公立大学53万8734円×4年間+入学料39万2391円=254万7327円

※参考:文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」より試算

私立大学などの学費に関する試算

大学4年間の学費に関するデータ

出所:文部科学省「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」

  • 私立大学93万943円×4年間+入学料24万5951円=396万9723円

※参考:文部科学省「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」より試算


上記は入学料と授業料のみ、かつ平均ですが、児童手当が高校卒業までとなれば、すべて貯めると国公立大学の学費に近くなります。

ただ、子育てにかかる費用は大学費用だけではありません。子どもの養育費用はもちろん、塾や習い事費用、学用品代など多岐にわたります。

それらを考えると児童手当拡充の必要性はあるものの、子育てにかかる費用の大きさを改めて感じるでしょう。