2. 小学生へのお小遣いに関する実態
金融広報中央委員会の「子どものくらしとお金に関する調査(第3回)2015年度」では、小学生に渡すお小遣いの実態が見えてきます。
2.1 小学生の70%以上がお小遣いをもらっている
まずは、お小遣いをもらっている小学生がどのくらいいるのかの調査結果から見ていきます。
小学校低学年では72.9%、中学年では73.0%、高学年では73.2%の子どもがお小遣いをもらっています。もらっている相手は親が最も多いですが、祖父母からもらっているケースも多いです。
2.2 低学年・中学年は「ときどき」、高学年は「月に1回」が多い
お小遣いをもらう頻度については、小学校低学年の場合、「ときどき」あげているご家庭が最も多く、半数以上を占めています。欲しいものがあるときや学校行事でがんばったときなど、その都度あげているケースが多いようです。
中学年の場合は、「月に1度」上げるご家庭が増え、約30%となります。しかし、依然として「ときどき」あげるご家庭が最も多く約48%となっています。
お金という概念が芽生えて定着し始める時期なので、毎月決まった金額をあげると喜ぶお子さんも多いでしょう。
高学年になると、「月に1度」あげるご家庭が最も多くなり約45%を占めます。友達と遊んだりクラブ活動で外出したりすることが多くなる時期で、毎月決まったお小遣いをもらえると自分で計画的に使う力が身につくでしょう。
2.3 金額は学年や頻度によって異なる
お小遣いの金額は、子どもの学年や、あげる頻度が「月に1回」か「ときどき」かにより異なります。
「月に1回」あげている場合は、低学年から高学年まで同額で500円が最も多いです。
「ときどき」あげている場合は低学年・中学年では100円が多いですが、高学年になると1000円が最も多くなります。
3. 子どもにお小遣いをあげるメリット
子どもは、お小遣いをもらうと欲しいものが買えるなどのメリットがありますが、子どもにとってのメリットはそれだけではありません。生きるためのたくさんのスキルを得ることができるのです。
3.1 コミュニケーション能力がアップする
お小遣いが欲しいときや足りなくなったときなど、親に「お小遣いを欲しい」と相談することになります。そのときに、何にいくら使うのか、買ってどうしたいのかなど、親に必要性を訴えるための交渉術が必要になります。
また、店員さんのように日常生活であまり接する機会のない人とやりとりすることも、コミュニケーションを学ぶうえでの勉強になります。
3.2 お金を計画的に使う能力が身につく
欲しいものがあるけれど1回のお小遣いでは足りない場合、毎月のお小遣いからいくらかずつを貯めて買うことがあります。欲しいものを買うために、「毎月貯金する」ことと「節約する」ことの大切さが同時に学べます。
また、お小遣い帳も使うとお金の流れが目でわかるようになるほか、資産形成に関する意識も自然と身につくでしょう。
3.3 判断力が養われる
自分のお金を使って買い物をするとなると、あれもこれも全部を買うことは難しいです。そのため、「これは本当に欲しいものなのか、必要なものなのか」をしっかり考えるようになります。
自分にとって大事なものかを判断する力は、今後の人生においても重要です。子どものうちから一つひとつの決断に向き合って、場合によっては妥協案を探すなど、生きるためのスキルが身につくことが期待できます。
4. まとめにかえて
小学生の70%以上がお小遣いをもらっていることがわかりました。
あげる頻度は「ときどき」、「月に1回」などご家庭により異なりますが、「ときどき」の場合は高学年になると高額になり、「月に1回」の場合は学年を問わず500円が多いという結果でした。
お小遣いをあげると、コミュニケーション能力や計画性、判断力などを養えるというメリットがあります。
お小遣いを上手に活用して、お子さまにお金の大切さや使い方を学ばせてあげましょう。
参考資料
木内 菜穂子