3. 厚生年金の平均月額「14万円」をもらうために必要な年収は?
最後に厚生年金の平均月額「14万円」を老後に受け取れる人の、現役時代の年収を確認しておきましょう。
厚生年金の受給額は「2003年3月以前の加入期間」と「2003年4月以降の加入期間」で計算式が異なります。
- 2003年3月以前の加入期間:平均標準報酬月額×(7.125/1000)×2003年3月以前の加入月数
- 2003年4月以降の加入期間:平均標準報酬額×(5.481/1000)×2003年4月以降の加入月数
※平均標準報酬額:勤務先から支給される報酬の平均額で、月給と賞与を合わせて12で割った金額を指す
本章では「2003年4月以降に加入した」想定で、年金月額14万円の人の現役時代の年収目安を算出していきます。
試算条件は下記のとおりです。
- 国民年金受給額(満額):81万6000円
- 厚生年金加入期間:38年間
- 配偶者や扶養家族はいない
厚生年金「月額14万円」を受給するとなると、年間で168万円を受給することになりますが、厚生年金には国民年金の受給額も含まれているため、まずは国民年金部分を差し引きます。
国民年金81万6000円を差し引くと、厚生年金のみでは86万4000円受給する必要があるため、平均標準報酬月額は下記のように計算することができます。
- 平均標準報酬額×5.481/1000×456ヶ月(38年間)=86万4000円
- 平均標準報酬額=約34万円
上記の計算式から、「平均標準報酬額」は約34万円となり、38年間の平均年収が「約408万円」であれば、厚生年金として月額14万円を受け取れる計算です。
国税庁の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、日本の平均年収は458万円です。
このことから、会社員として定年まで勤め上げた場合、厚生年金を月額14万円受給することはできる見込みです。
ただし、上記はあくまで38年間継続して、平均年収が408万円だった場合を想定しています。
年齢を重ねるごとに年収が増減した場合は受給額も変わるので、あくまで参考程度にしておくとよいでしょう。
4. 年金額を確認してセカンドライフに備えよう
本記事では、「厚生年金の受給割合」や「年金の仕組み」について詳しく紹介していきました。
厚生年金の月額平均は約14万円ですが、およそ2人に1人が平均以下の受給額となっています。
なお、本記事で紹介した年金額はあくまで現代シニアの受給額であり、少子高齢化が進む日本では、年金の水準がこのまま維持されるとは限りません。
将来のリスクに備えて、できるだけ早いうちから資産形成の取り組みを始めていきましょう。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「老齢年金ガイド 令和6年度版」
中本 智恵