2. 50歳代はどれくらい貯蓄できているのか

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると、50歳代二人以上世帯の貯蓄額は以下のとおりです。

2.1 50歳代二人以上世帯の金融資産保有額

  • 非保有        :27.4%
  • 100万円未満      :9.1%
  • 100~200万円未満   :6.4%
  • 200~300万円未満   :3.8%
  • 300~400万円未満   :3.9%
  • 400~500万円未満   :3.8%
  • 500~700万円未満   :5.6%
  • 700~1000万円未満 :5.5%
  • 1000~1500万円未満 :8.9%
  • 1500~2000万円未満 :4.2%
  • 2000~3000万円未満 :5.4%
  • 3000万円以上     :11.2%
  • 無回答          :4.8%
  • 平均値          :1147万円
  • 中央値          :300万円

平均値は1147万円、中央値は300万円となっています。

40歳代に比べると貯蓄額は増えていますが、中央値は300万円のため、老後に向けて充分な貯蓄があるとはいえないでしょう。

また、貯蓄がまったくない世帯の割合は27.4%で、40歳代に比べてその割合は増えています。

3. 老後に年金はいくらもらえるのか

多くの就職氷河期世代は、老後に向けて充分な貯蓄がないことを確認しました。

ただし、老後は貯蓄以外に年金をもらえます。そのため、年金だけで生活できる場合、貯蓄の必要性は低いです。

では、老後はいくらの年金がもらえるのでしょうか。以下の条件で、現役時代の平均年収別に受け取れる年金額をシミュレーションしてみましょう。

  • 1975年生まれ
  • 23歳から60歳まで厚生年金に加入
  • 65歳から年金の受取を開始

シミュレーションの結果は以下のとおりです。

平均年収ごとの目安年金受給額

平均年収ごとの目安年金受給額

出所:厚生労働省「公的年金シミュレーター」をもとに筆者作成

3.1 平均年収ごとの年金受給額

 平均年収  年金受給額

  • 200万円   月9万5000円
  • 300万円   月11万3000円
  • 400万円   月12万7000円
  • 500万円   月14万5000円
  • 600万円   月16万3000円
  • 700万円   月17万7000円
  • 800万円   月19万1000円

平均年収800万円の人は、月19万1000円の年金をもらえます。月19万1000円もらえれば、年金だけで生活できる人もいるかもしれません。

一方で、平均年収200万円の人が受け取る年金は月9万5000円です。月9万5000円だけで生活するのは、一般的に難しいでしょう。

4. 老後に向けた備えを始めよう

老後に向けて必要な貯蓄額は人それぞれです。受け取る年金と生活費などによって、必要な貯蓄額が決まります。

そのため、まずは老後に受け取れる年金額と必要な生活費をシミュレーションしてみてください。

年金だけで生活費を賄うことが難しい場合は、今から老後に向けた貯蓄を始めましょう。

参考資料

苛原 寛