2. 【一覧表】厚生年金、みんなは月額いくらもらってる?
厚生年金は国民年金よりも受給額が手厚いといわれていますが、実際にはどのくらい受け取れるのでしょうか。
厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和4年度の厚生年金の全体及び男女別の平均受給額は下記の結果となっています。(※厚生年金の年金額には国民年金が含まれます)
- 男女全体平均月額:14万3973円
- 男性平均月額:16万3875円
- 女性平均月額:10万4878円
厚生年金の受給額は、加入期間や年収によって大きく異なります。
男女間の差が生じる主な理由は、女性が出産や育児のために一時的に仕事を辞めたり、パートタイムに切り替えたりすることがあり、その結果、加入期間や収入が男性よりも少なくなるのが要因のひとつと考えられています。
ただし、男性の平均年金額も月額30万円には程遠い金額となっています。
月額30万円以上の年金を受給している人の割合はどのくらいなのでしょうか。次章で詳しく紹介していきます。
3. 厚生年金「月額30万円以上」の受給割合
厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の月額階級別の受給者数は下記の結果となっています。
上記のうち、厚生年金「月額30万円以上」を受け取っている人とその割合は下記のとおりです。
- 全体:1万2490人(0.08%)
- 男性:1万2164人(0.11%)
- 女性:326人(0.01%)
月額30万円以上の受給者数は全体で1万2490人となっており、全体の0.1%にも満たない結果となっています。
全体のボリュームゾーンは「月額10万円以上〜11万円未満」であり、平均月額よりも低くなっています。
また、月額30万円の半分である月額15万円以上の割合でも、全体で「46.1%」となっていることから、厚生年金であっても受け取れる年金額は意外と少ないことがわかります。
4. 厚生年金「月額30万円以上」に必要な年収の目安は?
厚生年金「月額30万円以上」の割合は全体の0.1%未満となっており、ほんのひと握りしか存在しないことがわかりました。
厚生年金の受給額は、現役時代の加入期間や年収によって決定しますが、月額30万円以上を目指すための「加入期間と年収目安」はどのくらいなのでしょうか。
厚生年金の受給額は、2003年4月以降「賞与」からも年金保険料が引かれるようになったため、「2003年3月以前」と「2003年4月以降」で計算式が異なります。
- 2003年3月以前の加入期間:平均標準報酬月額×(7.125/1000)×2003年3月以前の加入月数
- 2003年4月以降の加入期間:平均標準報酬額×(5.481/1000)×2003年4月以降の加入月数
今回は、2003年4月以降に加入したとして、年収目安を算出していきましょう。
試算条件は下記のようになります。
- 国民年金受給額(満額):78万円
- 厚生年金加入期間:40年間
平均標準報酬月額の計算方法は下記のとおりです。
厚生年金「月額30万円」を受給すると想定した場合、年間で360万円を受給することになります。
国民年金78万円を差し引くと、厚生年金から282万円受給する必要があるため、平均標準報酬月額は下記のように計算できます。
- 平均標準報酬額×5.481/1000×480カ月(40年間)=282万円(1年間の国民年金を差し引いた厚生年金の受給額)
- 平均標準報酬額=約107万円
平均標準報酬月額は約107万円となるため、1年間で計算すると「約1284万円」となります。
つまり、40年間の平均年収が「約1284万円以上」であれば、厚生年金として「月額30万円」を受給できます。
年収1284万円以上を40年間継続するのは難しいことから、厚生年金月額30万円以上の割合が0.1%未満なのも納得できる数値といえるでしょう。
5. 老後の対策は今のうちから
本記事では、厚生年金「月額30万円以上」を受け取っている人の割合について紹介していきました。
厚生年金で月額30万円以上を受け取っている人は全体の0.1%未満であり、2人に1人以上は月額15万円未満であることがわかりました。
厚生年金の受給額は加入期間や年収に依存するため、月額30万円以上を目指すのは非常に難しいといえます。
老後の資金不安を解消するためには、年金以外の準備が必要です。
iDeCoやNISAなどの税制優遇制度も活用しながら、早めに資金を準備することが重要です。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「老齢年金ガイド 令和6年度版」
- 日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
- 日本年金機構「令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)」
- 内閣府「生活設計と年金に関する世論調査」
中本 智恵