3. 定年退職した国家公務員の退職金の平均額は?
内閣官房の退職金に関する調査によると、国家公務員の退職金は下記のとおりです。
常勤職員、行政職俸給表(一)適用者ともに、平均支給額は「2000万円」を超えました。
このことから、やはり国家公務員が定年退職をする場合の退職金は「2000万円」を超える可能性が高いといえます。
ただし、勤続年数の一覧表でもあった通り、中途採用の場合は退職金2000万円を余裕でもらえる、というのは難しくなりそうです。
4. 一般企業の会社員が「定年退職金」で2000万円は可能?
前章では、公務員の定年退職金の相場について紹介しましたが、大企業や中小企業に勤める会社員の定年退職金はどのくらいなのでしょうか。
最新の統計である中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査(確報)」によると、資本金5億以上かつ労働人材が1000人以上の企業、いわゆる「大企業」のモデル定年退職金は、大学卒・高校卒それぞれ下記の結果となりました。
- 大学卒:2563万9000円
- 高校卒:1971万2000円
※学校を卒業後ただちに入社して標準的に昇進した者のうち、事務・技術(総合職相当)
一方、東京都産業労働局の調査データでは、企業規模が300人未満の企業の定年退職金については下記の結果となりました。
【大学卒】
- 企業規模10~49人の退職金:979万3000円
- 企業規模50~99人の退職金:1141万8000円
- 企業規模100~299人の退職金:1323万円
【高校卒】
- 企業規模10~49人の退職金:880万3000円
- 企業規模50~99人の退職金:1065万9000円
- 企業規模100~299人の退職金:1204万5000円
※卒業後すぐ入社し、普通の能力と成績で勤務した場合の退職金水準
上記を比較すると、大企業と中小企業では約1000万円の差があります。
また、中小企業では「そもそも退職金制度がない」という会社も一定数存在します。
公務員と大企業に関しては、定年まで勤めることで退職金という大きな資金を受け取ることができますが、中小企業の場合は毎月の給与から老後の資産を積み立てておく必要がありそうです。
5. まとめにかえて
今回は公務員の退職金事情を中心に、一般企業に勤める会社員の退職金事情についても詳しく見てきました。
データを確認すると公務員だけでなく、大企業であれば定年退職時の退職金は2000万円以上を受け取れそうです。
一方で中小企業の場合は、公務員や大企業に比べて定年退職金額が低くなる傾向にあります。
物価上昇が続くなかで、日本円の価値がますます下がっていくことが想定されます。
老後資金は退職金だけに頼らず、今のうちからできる範囲で資産形成を始めておくことが大切です。
参考資料
- 首相官邸「2024年3月28日 岸田内閣総理大臣記者会見」
- 内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」
- 東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」
- 厚生労働省 中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査(確報)」
- 厚生労働省「退職給付(一時金・年金)の支給実態 」
中本 智恵