新年度がスタートし、さまざまな準備によって出費が増えている方もいるのではないでしょうか。

国税庁が2023年9月27日に発表した「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、給与取得者5078万人の平均給与は458万円となりました。

また、厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」では、世帯年収の中央値(実際の平均に近い値)は423万円であり、年収400万円台の世帯は一般的な家庭として位置づけられています。

では、そんな「普通」の一般家庭では、皆さんいくら貯蓄しているのでしょうか。

本記事では、なかなか周りに聞けない「年収400万円台」の世帯の貯蓄事情について解説していきます。記事後半では「手取り収入からの貯蓄割合」についても言及しているので、ぜひ最後までご覧ください。

1. 【平均貯蓄額】「年収400万円〜450万円世帯」と「年収450万円〜500万円世帯」を比較

日本の平均的な年収は「400万円台」でした。それでは、果たして年収400万円台世帯はどのくらい貯蓄しているのでしょうか。

ここからはさっそく「年収400万円〜450万円世帯」と「年収450万円〜500万円世帯」の平均貯蓄額について解説していきます。

1.1 「年収400万円~450万円世帯」の貯蓄額は「850万円」

総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)」によると「年収400万円〜450万円の勤労者世帯」の平均貯蓄額は「850万円」でした。また、貯蓄の内訳の平均は下記の通りです。

  • 通貨性預貯金:363万円
  • 定期性預貯金:216万円
  • 生命保険など:190万円
  • 有価証券:71万円
  • 金融機関外:9万円

平均貯蓄額「850万円」と聞くと、意外と多いと感じる方もいるのではないでしょうか。「同じぐらいの年収なのに我が家は全然貯まっていない」と焦る人もいるかもしれません。

しかし、これは純粋な貯蓄額ではありません。

純粋な貯蓄額とは、貯蓄額からローンなどの負債額を差し引いた金額です。そしてこの純粋な貯蓄額が「老後費用」や「教育費」として扱われるものになります。

同統計によると年収400万円〜450万円世帯の負債額は「570万円」のため、貯蓄額から負債額を差し引くと、純資産額は280万円になります。

年収400万円〜450万円世帯の純資産額

年収400万円〜450万円世帯の純資産額

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)」をもとにLIMO編集部作成

「800万円」という数字だけをみると多い印象を受けるかもしれませんが、負債額を考慮すると純貯蓄額は300万円に満たない結果となります。

また、負債額の内訳の9割は「住宅ローン」が占めていることから、貯蓄をするうえで住宅ローンは家計に大きな影響を及ぼしていることが分かります。

1.2 「年収450万円~500万円世帯」の貯蓄額は「901万円」

次に、年収450万円〜500万円世帯の貯蓄額を見ていきましょう。

総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)」によると、年収450万円〜500万円の勤労者世帯の平均貯蓄額は「901万円」。そして、貯蓄の内訳の平均は下記のようになっています。

  • 通貨性預貯金:365万円
  • 定期性預貯金:238万円
  • 生命保険など:207万円
  • 有価証券:88万円
  • 金融機関外:3万円

また、年収450万円〜500万円世帯の負債額は「699万円」でした。先ほどと同様に、純粋な貯蓄額を確認してみましょう。

貯蓄額から負債額を差し引くと、純資産額は202万円となります。

年収450万円〜500万円世帯の純資産額

年収450万円〜500万円世帯の純資産額

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)」をもとにLIMO編集部作成

こちらも数字だけ見ると1000万円近い貯蓄額ですが、住宅ローンや車の購入費といった負債額を考慮すると純貯蓄額は「200万円」ほどになっています。

負債を除くとほとんど貯蓄で備えられていない実態が明らかになりました。

では、「年収400万円台」の家庭は手取りからいくら貯蓄しているのでしょうか。次章では手取り収入からの貯蓄割合を一覧表にして紹介しています。