6. 将来公的年金をいくら受け取れるのか考えたことがある人はどのくらい?
内閣府は2024年3月15日、「生活設計と年金に関する世論調査」を公表しました。
自身が将来公的年金をいくら受け取れるのかについて考えたことがあるか、既に年金を受け取っている場合は、これから年金をいくら受け取れるのかについて考えたことがあるか聞いたところ、下記の通りとなりました。
- 「考えたことがある」70.2%
- 「考えたことがない」27.2%
性別に見ると、「考えたことがある」と答えた人の割合は女性で、「考えたことがない」と答えた人の割合は男性で、それぞれ高くなっています。
年齢別に見ると、「考えたことがある」と答えた人の割合は50歳代、60歳代で、「考えたことがない」と答えた人の割合は18~29歳から40歳代で、それぞれ高くなっています。老後が現実的になってくる世代ほど、年金について考えたことがある人が多くなると考えられます。
また、性・年齢別に見ると、「考えたことがある」と答えた人の割合は男性の60歳代、女性の50歳代、60歳代で、「考えたことがない」と答えた人の割合は男性の18~29歳から40歳代、女性の18~29歳、30歳代で、それぞれ高くなっています。
7. 「全面的に公的年金に頼る」26.3%に
老後の生活設計の中で、公的年金をどのように位置づけているか聞いたところ、下記の通りとなりました。
- 「全面的に公的年金に頼る」26.3%
- 「公的年金を中心とし、これに個人年金や貯蓄などを組み合わせる」53.8%
- 「公的年金にはなるべく頼らず、できるだけ個人年金や貯蓄などを中心に考える」11.7%、
- 「公的年金には全く頼らない」1.6%
性別に見ると、「公的年金を中心とし、これに個人年金や貯蓄などを組み合わせる」と答えた人の割合は女性で、「公的年金にはなるべく頼らず、できるだけ個人年金や貯蓄などを中心に考える」と答えた人の割合は男性で、それぞれ高くなっています。
また年齢別に見ると、「全面的に公的年金に頼る」と答えた人の割合は70歳以上で、「公的年金を中心とし、これに個人年金や貯蓄などを組み合わせる」と答えた人の割合は40歳代から60歳代となりました。
「公的年金にはなるべく頼らず、できるだけ個人年金や貯蓄などを中心に考える」と答えた人の割合は18~29歳から40歳代で、それぞれ高くなっています。世代によって年金への考え方が異なることがわかります。
8. 「老後に向けた資産形成はしない、またはしなかった」12.5%
老後に向け、公的年金以外の資産をどのように準備したいと考えるか、または、準備をしてきたか聞いたところ、結果は下記の通りとなりました。
- 「預貯金」67.6%
- 「退職金や企業年金」32.9%、
- 「NISAと呼ばれる少額投資非課税制度」20.9%、
- 「民間保険会社などが販売する個人年金」14.5% など
なお、「老後に向けた資産形成はしない、またはしなかった」と答えた人の割合が12.5%となっています。老後資産への意識の差が伺えます。
都市規模別に見ると、「預貯金」を挙げた人の割合は中都市で、「NISAと呼ばれる少額投資非課税制度」を挙げた人の割合は大都市で、それぞれ高くなりました。
性別に見ると、「預貯金」、「民間保険会社などが販売する個人年金」を挙げた人の割合は女性で、「退職金や企業年金」を挙げた人の割合は男性で、それぞれ高くなっています。
年齢別に見ると、「預貯金」を挙げた人の割合は18~29歳で、「退職金や企業年金」を挙げた人の割合は18~29歳、40歳代、50歳代で、「NISAと呼ばれる少額投資非課税制度」を挙げた人の割合は18~29歳から40歳代で、「民間保険会社などが販売する個人年金」を挙げた人の割合は30歳代から50歳代で、それぞれ高くなっています。
性・年齢別に見ると、「預貯金」を挙げた人の割合は女性の18~29歳から50歳代で、「退職金や企業年金」を挙げた人の割合は男性の40歳代から60歳代、女性の18~29歳で、「NISAと呼ばれる少額投資非課税制度」を挙げた人の割合は男性の18~29歳から40歳代、女性の18~29歳から40歳代で、「民間保険会社などが販売する個人年金」を挙げた人の割合は女性の30歳代から60歳代で、それぞれ高くなっています。
9. 【老後資金】NISAやiDeCoも選択肢
今回の調査から浮かび上がったのは、年金受給額には個人ごとに大きな違いがあるという事実です。
将来的に年金収入だけで生計を立てるのは厳しいと感じる方も多いでしょう。
さらに、将来の年金支給額が減少する可能性もありますので、早めに老後の資金について対策を練ることも重要です。
その対策として、国が提供する「NISA」や「iDeCo」などの活用を検討するのも良いでしょう。ただし、資産運用にはリスクも伴います。自身の将来を見据えながら、適切な運用方法を模索することが重要です。
参考資料
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています」
- 日本年金機構「ねんきんネット」
齊藤 慧