2. 都心にしかない「おひとりさまにとって住みやすい」ポイント

結論、東京都のような都心部は、おひとりさまにとって住みやすいエリアと考えられます。

まず、住宅物件にメリットがあります。都心には単身世帯向けの住宅が充実しています。

大学生や単身赴任のサラリーマンを想定した物件も多く「物件の住民全員がおひとりさま」ということも珍しくありません。

さらに、駅近辺にはリーズナブルな価格帯の飲食店が充実しています。仕事終わりやおひとりさまでも、気軽に外食できるのです。

最近はおひとりさま専用の焼肉店や、ひとりで入店しやすい回転寿司などのお店も登場しています。こういったコンセプトの店舗は、地方ではやや珍しいかもしれません。

最後に、周囲の目という問題もあります。地方であれば、とくに休日は「1つのショッピングモールにそのエリアの住民が集まる」ともいわれています。

映画を観る人、洋服を購入する人、本を購入する人がすべて同じショッピングモールを訪れます。

一方、東京都にはさまざまな商業ビルがあり、なおかつ都民だけでなく観光客も集まるため、知り合い会うということはほとんどないでしょう。知人の目を気にせず、自分に合った商業施設を楽しめるのも都心ならではといえます。

3. 東京都は親と同居している人が少なく、結婚について主体的に考えやすい

総務省統計局「令和2年国勢調査」では、親と同居する40歳代独身者率が明らかになっています。都道府県別にランキングにしてみました。

【図表2】都道府県別・親と同居する40歳代独身者率

【図表2】都道府県別・親と同居する40歳代独身者率

出所:総務省統計局「令和2年国勢調査」を参考に筆者作成

【図表2】を参照すると、東京都は45位。40歳代で親と同居している人は全国的に見て少ないといえます。

たとえば進学をきっかけに上京し、そのまま東京都で就職する人も多くいます。

実家の場所や働き方、個人の事情などは異なるかもしれませんが、実家に帰省できるのはお盆とお正月くらいというケースも珍しくないでしょう。

この場合、親や親戚から結婚をすすめられたり、近年では少ないもののお見合い相手を紹介されたりする機会は少なくなります。

現代は結婚が前提の社会ではなくなりつつあるものの、それでも20〜30歳代以上の子どもをもつ親は「結婚するのが当たり前」という価値観をもっている傾向にあります。

家族から結婚に対するプレッシャーをかけられないというのは、おひとりさまで気ままにいられるかどうかを決める重要なポイントですよね。

また、プレッシャーという点で「金銭面」を挙げるおひとりさまも見受けられます。実際はどうなのでしょうか。

4. 独身者1000人のうち「独身であることと金銭的な理由に関係はない」63.5%

株式会社モデル百貨が実施した「おひとりさまのお金事情!独身貴族は本当にいる?お金の使い方や老後の備えなど本音で調査」を確認してみましょう。

25~59歳の独身男女1000人に結婚と金銭面との関連性を聞いたところ、もっとも多かった回答は「独身であることと金銭的な理由に関係はない」(63.5%)でした。

男女別にみると、男性の58.8%、女性の68.2%が「お金がないから結婚できない」とは考えていないようです。

金銭面の不安を結婚できない理由とした意見などが、SNSやインターネットなどで話題になることがあります。

しかし、独身者の過半数が「独身であることと金銭的な理由に関係はない」と考えていることが明らかになりました。

5. 「結婚以外の選択」も溢れている現代社会...結婚は優先順位が高いとは限らない

様々な娯楽がある東京都では「結婚以外のこと」にも関心が向かいやすいようです。

人口が集中する都市部では映画館や劇場、商業ビルも充実しており、大人がひとりでも楽しみやすい環境だといえるでしょう。

たとえば、クリエイターや芸能人としての成功、あるいはキャリアアップを目指している人であれば「結婚どころじゃない」という人もいるかもしれません。

婚活に励む時間すら惜しく、自分の夢や目標に向かって走りつづけたいと考える人も少なくないでしょう。

また、会社員として安定的な収入がある方であっても、平日は仕事に忙しく、休日は趣味や休息に時間を充てていれば、結婚について考える機会はあまりないかもしれません。

参考資料

西田 梨紗