こうしてみると、規制業種である金融機関は、稼げるビジネスモデルがうまく回っている限り将来も安泰であるように思えます。しかし、それほど世の中は簡単ではありません。その背景にあるのが加速化するテクノロジーの進歩です。
金融業界と最も関係が深いのはフィンテックですが、フィンテックの進歩により、今後は金融機関の業務も機械化、自動化、AI化が加速すると考えられます。
だからといって人材がまったく不要になったりすることはないでしょう。金融機関としても、顧客をしっかりと持ち、投資機会の目利きができ、リスク管理ができる人材の付加価値は非常に高いといえるからです。
ただし、このような環境の変化が進んでいけば、今は高年収を稼げるとされる金融機関勤務だからといって今後も高収入が続くかどうかは未知数といえるかもしれません。
まとめにかえて
いかがでしたでしょうか。金融機関に勤務する人が高収入である理由を探ると、規制業種であり、必ずしも労働集約的要素を必要としないビジネスモデルだという点にヒントがありそうです。
その一方、昨年はメガバンク各行から大規模な構造改革案が次々と打ち出されたこともあり、今後の動向が注目されます。金融機関を取り巻く環境を大きく変える要因になりうるという意味では、フィンテックの進展度合いが影響を及ぼす可能性もありえます。
ただしフィンテックが進んでも、プライベートバンキングや投資銀行業務のように「個」の力が評価される仕事は残るでしょう。したがって、将来にわたって安定的に稼げるかどうかは、個人に帰属する強いスキルを持っているかどうかがカギになるといえそうです。
LIMO編集部