老後を暮らすのに必要不可欠となる公的年金には、老齢基礎年金(国民年金)と老齢厚生年金があります。

次回の支給日は4月15日に迫っていますが、実は6月支給分から【実質減額】となることをご存知でしょうか。

帝国データバンクの”「食品主要195社」価格改定動向調査―2024年4月”によると、4月の食品値上げは2806品目にのぼり、家計の圧迫は続く見込みです。

そんな中、年金が主な収入源となる高齢者の生活に不安を抱える方も多いでしょう。

今回は2024年度の「国民年金と厚生年金」の年金額例を確認し、【実質減額】とされる理由に迫ります。記事後半では実際に支給された年金額の月平均を見ていきたいと思います。

さらに、年金から天引きされるお金にも注意しましょう。

1. 2024年度の年金額はプラス改定!

厚生労働省によると、2024年度の年金額の例は次のとおりとなります。

  • 国民年金(老齢基礎年金):6万8000円(1人分※1)
  • 厚生年金:23万483円(夫婦2人分※)

※1昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万7808円です。

※2平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準。

2022年度(令和4年度)は21万9593円、2023年度(令和5年度)は22万4482円だったので、2年連続のプラス改定となりました。

年金は基本的に前々月・前月の2ヶ月分が偶数月の15日に支給されるしくみのため、増額された「2024年4月分」の年金が支給されるのは6月14日(金)です。

この4月に支給される年金は、まだ2023年度分であることに注意しましょう。

さらに注意したい点として、増額とはいえ【実質目減り】である現状を知っておく必要があります。次章にてくわしく確認しましょう。

2. 6月支給の年金から増額なのに【実質減額】のワケ

年金額の改定には、物価変動率や名目賃金変動率が用いられます。物価変動率が名目賃金変動率を上回る場合、名目賃金変動率を用いて年金額が改定されます。

今回の物価変動率は3.2%、名目賃金変動率は3.1%でした。ここにマクロ経済スライドによるスライド調整▲0.4%が適用され、年金額改定率は+2.7%となりました。

マクロ経済スライドとは、将来の現役世代の負担が重くならないように導入された制度のこと。賃金や物価による改定率から、現役の被保険者の減少と平均余命の伸びに応じて算出した「スライド調整率」を差し引くことによって、年金の給付水準を調整しています。

保険料等の収入と年金給付等の支出のバランスが保たれるよう、時間をかけて緩やかに年金の給付水準を調整する重要な役割を担っています。

年金制度の維持には必要不可欠なものである一方、これにより結果的に物価変動率に追いついていないことから、「実質的には目減り」とされているのです。

収入があがっても、それまで買えていたモノがそれ以上に増額されていると、家計は苦しくなる一方だと考えられます。

では、実際には国民年金や厚生年金はどれほど支給されているのでしょうか。平均額に注目していきましょう。