以前、金融資産が1億円を突破する「億り人」という言葉が話題となりましたが、相場環境が比較的良好な今、富裕層への仲間入りを果たした方もいらっしゃると思います。
また、これから億り人になることを目指して投資をしている方もいるでしょう。
今回は、2024年から始まった「新NISA」で億り人を達成できるのか、その方法について考えていきます。
記事の後半では新NISAを活用した積立投資のシミュレーション結果を載せているので、運用のイメージを掴んでいただければ幸いです。
1. 富裕層・超富裕層の純金融資産総額は推計364兆円
一般的に、富裕層は純金融資産総額が1億円から5億円未満の世帯、超富裕層は5億円以上の世帯のことを指します。
野村総合研究所の調査によると、富裕層と超富裕層の世帯数は合計148万5000世帯であり、純金融資産総額は推計364兆円に上るとのことです。
2021年までの統計結果を見ると、2013年の「アベノミクス」以降は一貫して増加を続けており、その背景の1つとして、株式などの金融資産が値上がりしたことが考えられます。
最近では日経平均株価がバブル時の高値を更新するなど、金融資産を多く保有する世帯ほど恩恵を受けていることでしょう。
とはいえ、世帯数が最も多いのは資産3000万円未満のマス層であり、中には「億り人」を目指して投資をしている方もいると思います。
その一歩として、今年から始まった新NISAを活用している方、またはこれから活用する予定の方もいるのではないでしょうか。
まずは、新NISAの概要をおさらいし、新NISAで「億り人」を達成できるのか考えていきましょう。
2. 新NISAの概要
従来のNISA制度が拡充・恒久化され、2024年から新しいNISAとして生まれ変わりました。
株式や投資信託などの金融商品を非課税で保有できる期間が「無期限」となり、より長期的な視点での運用が可能となっています。
新NISAでは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つの枠が設けられており、それぞれ投資対象商品や年間投資枠、非課税保有限度額などが異なります。
つみたて投資枠では、年間120万円まで、金融庁の基準を満たす投資信託を積み立てることができます。一方で成長投資枠では、年間240万円まで、国内外の株式やETF、投資信託などに一括投資または積立投資を行うことができます。
また、非課税で投資できる上限金額は、総枠として1800万円(内、成長投資枠は1200万円)までとなりました。
では、この制度を活用して「億り人」を達成することができるのか、筆者の見解を述べたいと思います。