2. 【50歳代・二人以上世帯】貯蓄1000万円以上は3割超えも貯蓄格差があらわに
では、ここからは50歳代・二人以上世帯で「貯蓄1000万円以上」の方の割合を見ていきましょう。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」より、50歳代・二人以上世帯の貯蓄事情を確認します(金融資産を保有していない世帯を含む)。
2.1 【50歳代・二人以上世帯】の貯蓄1000万円以上の割合
- 29.7%
2.2 【50歳代・二人以上世帯の貯蓄額】平均と中央値
- 平均:1147万円
- 中央値:300万円
貯蓄1000万円以上でみると約3割となりました。
平均値は1000万円を超えていますが、平均は一部の富裕層に影響されるため、より実態に近い中央値を見ると約800万円も下がり、300万円となっています。
50歳代は収入がピークにさしかかる年代ですが、貯蓄格差が大きいようです。
3. 【厚生年金と国民年金】平均月額はいくら?
老後の収入源となる年金ですが、現代シニアはいくらぐらい受け取っているのでしょうか。
厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、現代シニアの平均的な年金額も見ていきましょう。
3.1 厚生年金の平均年金月額
- 〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金部分を含む
3.2 国民年金(老齢基礎年金)の平均年金月額
- 〈全体〉平均年金月額:5万6316円
- 〈男性〉平均年金月額:5万8798円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4426円
国民年金で5万円台、厚生年金で14万円台でした。
しかし、実際には年金の加入状況により、将来受け取る受給額が異なります。
特に厚生年金は収入に応じた保険料を支払うため、男性より低賃金の傾向にあり、ライフイベントにより働き方を変化させることが多い女性は、男性に比べて平均月額が約6万円も低くなっています。
4. 老後に向けた貯蓄を今からスタートさせよう
これまで50歳代・二人以上世帯の「貯蓄」と年金月額を確認してきました。
過去には「老後2000万円問題」が話題となりましたが、老後資金は50歳代で収入が多い時期にしっかりと備えておきたいものです。
2024年度の年金額は増額となりましたが、物価上昇の影響もあり、今後は目減りしていくと考えられます。
そのため、今のうちから年金に頼らない資金計画を立てていくことが重要になるでしょう。
これを機に、預貯金や資産運用、仕事による収入など、自身に合った老後対策について考えてみてはいかがでしょうか。
4.1 【ご参考】50歳代・二人以上世帯の貯蓄額一覧表(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 金融資産非保有:27.4%
- 100万円未満:9.1%
- 100~200万円未満:6.4%
- 200~300万円未満:3.8%
- 300~400万円未満:3.9%
- 400~500万円未満:3.8%
- 500~700万円未満:5.6%
- 700~1000万円未満:5.5%
- 1000~1500万円未満:8.9%
- 1500~2000万円未満:4.2%
- 2000~3000万円未満:5.4%
- 3000万円以上:11.2%
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2023年(令和5年)平均結果の概要」
中本 智恵