公的年金の支給額は、2024年6月支払い分より増額となる予定です。
しかし一方で、半数以上の方が年金だけでは生活できない現状があります。
今回は「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」をふまえた現状の年金生活者の紹介。後半では、老後の暮らしを安定させるためのポイントを紹介します。
1. 年金だけで生活できていない世帯は56%
厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、年金だけで生活できている人は全体の44%です。
裏を返せば56%は年金だけで生活できていないことを意味します。
年金収入が100%ではないということは、生活を維持するうえで年金だけでは足りないということを意味しています。
老後も働いて給与所得を得ている方のほか、投資により配当収入を得ている方もいるでしょう。
2. 2024年度より年金収入は増えても状況の改善は見込みづらい
2024年1月19日に厚生労働省から年金額の改定が公表され、平均的な夫婦のケースで月額23万円程度、国民年金はひとり6万8000円に増加します。
※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万7808円(対前年度比+1758円)です。※2 平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で 40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
割合にするとおよそ前年比で+2.7%増える形となります。
年金受給額が増えれば余裕がでてくるようにみえますが、残念ながらそうはいきません。
厚生労働省の資料によると、物価上昇率は前年比で+3.2%となっていて、年金の受給額より物価上昇の伸び率の方が大きいのです。
実際に購入できるモノの量や質でみると、年金受給層の実質的な収入はより厳しくなると想定されます。
そのため、年金だけで生活する人の割合が減る要因とはならないと考えられます。
では、ゆとりある老後を送るためにはどうしたらいいのでしょうか。次章でそのポイントを整理していきます。