3. ゆとりある老後生活を送るためのポイント
半分以上の年金受給世帯が年金だけでは生活できていない実情をふまえると、年金だけでゆとりある生活を送るのは難しい可能性があります。
年金を増やす対策と年金以外の収入を得る対策の両面から準備を進めておきましょう。
3.1 老後にむけて資産形成を進めて、安定運用を継続
まずは、老後に切り崩せる充分な資産を形成しましょう。
2019年、金融庁はゆとりある老後生活を送るためには、2000万円の資産が必要であるとの見方を示してます。
2000万円はあくまでも目安で個人によって異なりますが、いずれにしても老後に向けて早い内から資産を形成して、年金収入だけで生じる赤字を補填しておけるようにしておきましょう。
なお、老後に入ってからも低リスクな資産への投資を継続しておけば、さらに生計を維持しやすくなると期待されます。
3.2 年金受給額を増やす工夫をするのも有効
年金受給額を増やす工夫を実践するのも有効です。
年金受給額を増やす方法は複数あります。
- 受給開始タイミングを遅らせる
- 国民年金で付加年金・国民年金基金を利用する
- iDeCoや企業年金を利用する
厚生年金で、通常65歳の受給開始タイミングを遅らせると1月あたり0.7%受給額が増えます。
最大75歳まで繰り下げれば84%受給額が増えます。
また、国民年金の場合、付加年金制度で毎月400円を上乗せして納めるごとに受給額が月200円ふえます。
もしくは国民年金基金に加入して拠出しておくと、老後の受給額を増やすことが可能です。
最後にiDeCoや企業年金といった追加の年金制度を利用することでも、受給額を増やせます。
3.3 健康を維持して働き続けるのも選択肢
労働に強い苦痛を感じないのならば、老後も可能な範囲で働き続けるのも一案です。
近年はシニア層の就労機会も増えていて、多くの年金受給世帯が働いています。
「生活に困るから働く」というより心身の健康維持や社会との繋がりの維持を重視して働く方も少なくありません。
65歳を過ぎても働けるよう健康を維持しておいて、年金以外の収入を得続けるのもひとつの手段といえるでしょう。
4. 安心して老後を迎えるために
100%年金収入だけで暮らしている方は44%。残りの56%は、年金以外の収入源を確保したり、他の収入を得て生活していることがわかりました。
安心して老後を迎えるためには、「資産形成を進めて安定運用を継続」「年金受給額を増やす工夫をする」「健康を維持して働き続ける」等が有効になります。
老後に向けてしっかり考えていきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします ~年金額は前年度から 2.7%の引上げです~」
- 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
- 公益財団法人生命保険文化センター「年金額を増やす方法は?」
- 国民年金基金「国民年金基金」
太田 彩子