面接の現場に呼び出されるのは人事部から評価を得ている証、という面があると先に触れましたが、A氏は「これでは面接に呼ばれるのは変なリスクになりかねない」とも指摘します。
A氏はこう続けます。
「同期で非常に優秀な人材がいたのですが、その人物が採用プロセスにおける学生への対応で問題があったようで、その後、地方配属となりました。その問題が直接の原因かどうかは分かりませんが、同期の間ではそうではないかという話でもちきりでした」
「採用面接は学生にとっても緊張する場面が続くかもしれませんが、採用をする側も自分にとってのリスクにならないよう慎重に対応するという心構えが必要だと思っています」
面接で評価しやすい学生とは
最後に、どのような学生が面接しやすいのかを聞いてみました。
「簡単ですよ。誰もがマルと言うような人材です。投資の世界に『美人投票』という言葉がありますが、まさにそれと同じです。自分が良いと思う人に投票するのではなく、みんなが投票するであろうという人物に投票するのです」
それでは学生の行動が画一化しそうですし、内定を手にするのはマニュアルを叩き込んだ学生ということにならないでしょうか。
「マニュアル学生不要論、というような論調があることは十分に承知しています。ただ、面接する側も社内で面接の内容を評価されてしまう現実を考えると、コミュニケーションがしっかり取れて礼儀正しい学生に良い評価を与えれば、あとあと、『なぜあのような学生に高評価を与えたのだ』と後ろ指をさされることはないでしょう」
「これはあくまでも私見ですが、1次面接くらいはマニュアル通りといっては言い過ぎかもしれませんが、当たり前のことを当たり前にできる準備はしておいてほしいですね。会社に入れば、決められた仕事をしっかりこなさないといけないという現実があるのですから」
こうしてみると、面接は、される方もする方も真剣勝負だということが分かります。もっとも、お互いに相手の立場を理解した上で、良さを最大限強調し、また引き出すことのできる場であれば理想的と言えるのではないでしょうか。
LIMO編集部