就職活動が本格化していますが、その過程におけるグループ面接や個別面接は初めての経験で戸惑うという学生も多いでしょう。ところが、面接で困るのは学生だけではありません。特に、面接をする側の立場になったことのない、若い年次のリクルーターや面接官に特有の悩みがあります。今回は経験者の話をもとに、その実情を見ていくことにしましょう。
金融機関の面接の一場面
日系金融機関勤務の経験があるA氏は、金融機関に入社して2年目の春に就活学生の面接を担当することになりました。人事部から所属部署に対し就業時間中の面接対応への打診があり、上司が承諾すれば面接の現場に駆り出されます。
採用する企業も面接は「大仕事」です。まさに「総出」という言葉にふさわしく、猫の手も借りたい状況と言いってもいいでしょう。ただ、社員全員が面接の現場に出るわけではありません。もちろん各社とも日常業務があるので、大量の仕事が目の前にある場合や重要な地位にある人は、そうそう面接対応ができるものではないからです。
A氏が駆り出されたのはいわゆる1次面接
人事部もそこはよく人材を見ており、現場の理解を得られて、なおかつ面接に出しても問題ない社員かそうでないかを判断しているようです。そうした背景もあり、A氏は面接に駆り出されることは「人事部に評価されている」と思ったそうです。
A氏が担当したのは、いわゆる「1次面接」です。人事部から朝一番に当日面接をする学生のエントリーシートのコピーと判定シートを渡され、パーティションで仕切られたブースで30分ほど学生を面接することになります。
そこでエントリーシートをもとに質問をしていくと、多くの学生はしっかり準備をしていてエントリーシートに書かれたことを丁寧に説明するようです。そのため、その人物の本当の姿を垣間見ようと思えば、エントリーシートにない内容であったり、やや意地悪な質問を投げかけてみる必要もあるのだそうです。
そうすることで相手の本来の姿に少しでも近づくことができれば、面接官として一定の役割を果たせたということになるようです。
A氏を悩ませたこととは
しかし、問題はここから始まります。
たとえば、A氏が面接した学生Xについて、「優秀。次のステップに進めたい」とコメントしたとします。ところが、A氏より年次が上の面接官が学生Xを面接した後に、「なぜあのような学生を推挙したのか」と指摘してくることがあるのだといいます。
A氏はこう打ち明けます。
「私が勤務していた金融機関では、年次の若い順に面接をすることが多かったです。年次が上になれば日々の業務の重要度も増しますから、当然といえば当然です。年次が上の社員が2次面接や3次面接をする際に、私の評価がその人たちと異なれば、『あいつは何を見ているのだ。見る目がない』と言われかねません。これが怖いのです。私の同期も同じようなことを言っていました」