2. おひとりさまが老後生活を送るうえでの不足額はいくら?
実際の年金受給者の家計状況をみると、単身世帯では月2万1000円の赤字になりました。
※金額等は執筆時点での情報にもとづいています。
仮に30年間、すなわち65歳から95歳までの月々の赤字額をおぎなうとすると、およそ741万円不足する計算に。
もし、老後生活を年金だけで賄うなら、この金額を貯蓄する必要があります。
3. おひとりさまの老後生活の考え方
中央値で見れば老後生活が不安にも見えるおひとりさまですが、実は個々の状況によって深刻度合いは変わります。
次のようなポイントをふまえて、自分の老後生活を見据えた準備を進めてください。
3.1 退職金が期待できるなら過度な不安は不要な方も
まず、現在大企業の正社員などに勤めていて、まとまった退職金が期待できるなら過度に不安に感じる必要はありません。
単身の生活を支える700万円超の資金は、退職金だけで賄える可能性があるためです。
退職金制度はそれぞれの勤務先で大きく異なるため、しっかり確認するようにしましょう。
3.2 現在まとまった支払いがある方はマネープランを立ててみよう
住宅ローンなどでまとまった支払いがある方は、マネープランを立てて今後の支払い状況を見通しましょう。
仮にローン返済が老後の前に終わるなら、完済後に家計が急改善することにより資産形成が可能な場合があります。
3.3 40歳代は投資を積極化すれば間に合うことも
40歳代で貯蓄ゼロに近い状態の方も、単身であれば老後に間に合う可能性があります。
たとえば、45歳から投資を始めて65歳に1000万円の資産形成を目指すとしましょう。
金融庁「資産運用シミュレーション」にて試算すると、利回り3%とした場合、月々3万460円の積立で1000万に到達可能です。
その人の家計状況にもよりますが、捻出可能な方は多いのではないでしょうか。
4. まとめにかえて
40歳代の貯蓄平均値は559万円、中央値は47万円。50歳代の貯蓄平均値は1391万円、中央値は80万円になりました。
前年度の調査ではどちらも中央値が53万円だったので、変化している様子がわかります。
中央値で見れば老後生活が不安にも見えるおひとりさまですが、実は個々の状況によって深刻度合いは変わります。
過度な不安だけを募らせるのではなく、個々の状況を今一度振り返ってみましょう。
参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
- 総務省統計局「2022年(令和4年)家計の概要」
- 厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 金融庁「資産運用シミュレーション」
太田 彩子