エーザイ、3Q累計売上収益は前期比108% 営業利益・四半期利益においても事業計画を達成

2018年2月2日に行われた、エーザイ株式会社2017年度第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料

スピーカー:エーザイ株式会社 常務執行役 柳良平 氏

2017年度第3四半期 連結業績(IFRS)

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柳良平氏:それでは私から、財務セクションについてご報告申し上げます。こちらのスライドでは、2017年度第3四半期累計の連結業績をお示ししております。当社ではIFRSを採択しています。売上収益、営業利益、四半期利益等において事業計画を達成しています。

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初めに、売上収益です。4,399億円と、前年から108パーセントの成長を達成しました。これは主にグローバル4品、「レンビマ」「ハラヴェン」「フィコンパ」「BELVIQ」で146億円、増加した収益の約半分くらいを獲得したことが、功を奏しています。グローバル4品の前年の成長率は127パーセントと、大幅な増収になっています。

また、売上原価率は35.5パーセントへと改善しました。これは、ミックスの改善ならびに原価低減努力が功を奏したことによります。

その結果として、粗利は2,837億円。前年からは109パーセントの増益になりました。なお現在、エーザイではニューロロジー(神経)とオンコロジー(がん)のエリアを中心に、積極的な研究開発への投資の時期と位置付けておりますので、研究開発費は1,020億円。前年から123パーセントの増加となりました。

また、売上高に対する研究開発費の比率は23.2パーセントとなっており、現在当社は世界の製薬産業の中で、もっとも研究開発に積極的に資源投入をしている1社と言えるかと思います。

しかしながら、バイオジェンをはじめ、パートナーからの戻入金を含め、研究開発費は事業計画の範囲内の着地となっております。

販管費については、「レンビマ」「フィコンパ」、あるいはアジア・中国といった伸び盛りのところに、前向きで積極的なマーケティング費用を投入しており、1,356億円と前年から105パーセントの増加となりました。

しかしながら、販管費は(売上比で)30.8パーセントに改善し、かつ販管費の増加率は粗利の増益率の範囲内に財務規律を持って、コントロールされています。

なお、その他の損益は、昨年度はEAファーマの割安購入益として93億円がございました。今年度は大きな特殊要因がございませんので、結果として営業利益は467億円の着地となっています。

この数字は、年間の営業利益の目標600億円に対し78パーセントと順調な進捗を示し、事業計画を大幅に達成しています。

親会社所有者帰属の純利益については、281億円の着地になりました。

この数字は、米国における税制改正の影響である約12億円をすでに吸収して、目標を達成したというかたちになっています。

また、本業のビジネスで申し上げますと、医薬品事業のセグメント売上は、前年から107パーセントの成長。全リージョンで、前年から成長・増収を達成しました。

医薬品事業セグメントのセグメント利益は、前年から112パーセント成長で二桁増益を確保しました。このように、本業において増収増益を達成した第3四半期決算であったと言えようかと思います。

売上収益の増減要因分析

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こちらの滝グラフでは、売上収益の増減要因をお示ししています。

昨年度(2016年4-12月)の9ヶ月間の売上は、4,092億円でした。そこにグローバルブランド(の拡大)で120億円、日本事業で70億円、中国・アジアで113億円の増収を加え、合計はプラス307億円の、4,399億円の着地となっています。

営業利益の増減要因分析

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こちらの滝グラフでは、営業利益の増減要因をお示ししています。昨年度の9ヶ月間の営業利益は、576億円でした。ここに、グローバルブランドの拡大で112億円、日本事業で42億円、中国・アジアで38億円の増益を獲得いたしました。

しかしながら、先ほど申し上げたように、現在エーザイではニューロロジーとオンコロジーエリアを中心に、研究開発費を積極的に投入する時期と位置付けており、R&D費用191億円を昨年から増加いたしました。

この中には、アルツハイマーのプロジェクトでバイオジェン社から入手した、マイルストーンペイメントの52ミリオンドルの影響が含まれております。

申し上げたように、昨年度はEAファーマの(株式取得に伴う)割安購入益が93億円ございました。これらをもって、営業利益は467億円となっておりますが、昨年度の割安購入益、さらにバイオジェン社からのマイルストン、以上2つの影響を除きますと、実質的には営業増益かつ事業計画を大幅に達成したという着地になっています。

2017年度 連結業績見通し(IFRS)

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こちらのスライドでは、年度の連結業績見通しをお示ししています。我々の業績予想に現在変更はございません。昨年の(売上収益)5,391億円に対して今年度は5,755億円と、前年から107パーセントの増収を見込んでおります。

営業利益は、昨年度の591億円から600億円と、102パーセントの増益を見込んでおります。もちろん、4月からの薬価改定に伴う影響、あるいは米国での「Aloxi」のジェネリックの動向、為替の変動など、種々の不確定要因や不透明要素はございます。

しかしながら、すでに米国の税制改革の影響である12億円は織り込んでおりますし、経営のリアルオプションを駆使しながら、ぜひともこの計画で増収増益を達成したいと現在考えております。

ROEは6.8パーセントと、未だ十分な水域ではございませんが、長期的に、例えば10年平均のROEなどを求め、中長期で正のエクイティ・スプレッドを向上させることで、中長期的・持続的な企業価値の最大化を目指してまいります。配当金150円の予想に変更はございません。

成長投資と安定配当を支える

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その配当金の1つの根拠となる、バランスシートとキャッシュフローの状況を、こちらのスライドでサマリーでお知らせしております。

まず最初に、バランスシートでございますけれども、現金・有価証券が有利子負債を大幅に上回り、現在は574億円のネットキャッシュポジション、すなわち実質的な無借金会社というステータスを維持しています。

Net DERはマイナス0.10倍。自己資本は5,904億円と、6,000億円レベルを保っています。また、自己資本比率は56.3パーセント。最適資本構成のスレッシュホールドとして意識している自己資本比率50パーセント超に対して、一定の余裕を持った、健全なかたちになっています。このように、ストロングバランスシートを有して、強い財務体力を維持しているのが、現在の状況です。

さらに、キャッシュフロー計算書のサマリーをお示ししております。グローバルなCFO会議も含めて、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)の改善努力が、クォーターを追うごとに実りまして、ワーキングキャピタルが大幅に改善したことから、営業キャッシュフローは388億円にまで回復しました。

結果として、フリーキャッシュフローは284億円でした。これに加えまして、国内の売掛債権50億円の資金回収が、昨年末は銀行休業日に当たったことから、翌営業日である1月4日の年初の営業日に入金が1営業日ズレ込みました。

その影響を調整した実質ベースな調整後フリーキャッシュフローは、334億円となっています。この数字は、年間の配当支払予定額429億円に対して、78パーセントのカバレッジとなっております。

原則として、配当金をほぼフリーキャッシュフローの範囲内で賄っていくという基本方針に対して、順調に推移しております。

このようなバランスシートとキャッシュフローを有していることから、成長投資と安定配当を両立し、配当金150円を維持していく方針に、マネジメントとして自信を深めている状況でございます。

ESGがSDGsを通じて企業価値を創造する

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ここまでのスライドでは、財務情報についてご説明申し上げましたが、非財務情報も、中長期的・持続的な企業価値の想像に資するという概念フレームワークをお示ししています。

例えば、私たちエーザイの根幹はその企業理念「hhc」にあり、そこに基づく患者さま貢献への種々の取り組みです。

言い換えるとESGの取り組みであり、こういったものを通した非財務資本を投下して、どれぐらいの非財務的なリターンを得ることができるのか。その非財務的なリターンは、SDGsあるいはSDGs社会的課題の解決というリターンや、企業理念を依拠した患者さま貢献という、定性的なリターンと読み換えることもできるかと思います。

すなわち、非財務資本のリターンオンキャピタルを高めることが、中長期的な企業価値の向上に資するという考え方です。

それは、定款に定めた企業理念とも合致しますが、会社の使命は患者さま貢献であり、ただしその結果として遅延的・長期的に経済的価値も生み出すというのが、エーザイの企業理念です。

患者さま貢献という非財務資本のROCやESGのリターンが、長期的に財務的な長期ROEに反映され、株主価値の代理変数であるPBRに収斂していくという概念フレームワークをお示ししています。

ちなみに、(2017年)12月末現在のエーザイのPBRは約3倍、時価総額は約1兆9,000億円です。そのうちPBR1倍までの部分、会計上の簿価純資産は現在の財務資本と言い換えることもできますが、おおよそ6,000億円のブックバリューを持っています。

それに対して、PBR1倍を超える部分である市場付加価値は、約1兆3,000億円でございました。この数字はESGの価値や、SDGsや「hhc」といった見えない価値と、正の相関を持っていると考えることができると思います。

また、違った見方をファイナンス理論で解析し、残余利益モデルにしたがえば、PBR1倍以上の部分は、エクイティ・スプレッドの未来永劫の現在価値の相場に収斂していく関数があるということを、証明することができます。ESGをはじめとした非財務資本は、ROEやPBRといった長期的な財務的な価値と整合性がある、インテグレーションができるという考え方で、ESGに取り組んでいます。

したがって、患者さま貢献やSDGsを企図したESGの取り組み、エーザイの種々の取り組みが、企業価値を中長期的に高めると考えています。(資料右側の)この赤いボックスの中に、種々のESGの活動や外部評価をお示ししています。

そして、もっとも注目して期待されているのが、例えば知的資本・人的資本としてのニューロロジーとオンコロジーの有望なパイプラインや、多くのステークホルダーに関連した事項かと思われます。

私からは以上です。ご清聴ありがとうございました。

記事提供:ログミーファイナンス

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