2. 「ソメイヨシノ」が東京都の花とされた由来、知っていますか?
ソメイヨシノは漢字で書くと「染井吉野」。江戸末期に品種改良でソメイヨシノを作り出した植木職人が住んでいたのが、現在の東京都豊島区にあった染井村です。
それまでサクラといえば奈良の吉野桜を指していました。そこで江戸で見られる吉野桜という意味合いで、「ソメイヨシノ」と命名したと言われています。
1954年、NHK・全日本観光連盟・日本交通公社・植物友の会の主催で各都道府県から「郷土の花」を募集した際、豊島区生まれのソメイヨシノが東京都の花に。
その後1984年に「都の花選考会」を設置してアンケートを取った結果、86.9%の支持を得て正式に東京都の花に決定しました。
3. 「ソメイヨシノ」の魅力
3.1 はかなくも美しい花
ソメイヨシノの開花期は3月下旬~5月にかけて。地域によって気温が異なるため開花時期にはバラつきがあります。葉が出る前に花が咲きだすのは、親株であるエドヒガンの性質を受け継いでいます。
花が大きいのはもうひとつの親株「オオシマザクラ」と同じ特徴で、花弁は5枚で咲き始めは淡いピンク。咲き進むにつれて白っぽく変化します。
花つきがよく房状に密集して開花。ボリューミーな花姿は遠くからでもよく目立ちます。花の寿命が約1週間程度と短く、雨や風でハラハラと舞い落ちる様子が、はかなくもあり潔さも感じられます。
3.2 秋の紅葉が美しい葉
ソメイヨシノの葉は長さ 8~12センチ、幅 5~7センチと大型。楕円形で先端がシャープに尖っています。葉はやや分厚く、裏表に細く短い毛が生えています。
花が散るころに芽吹き、明るいグリーンの葉が夏になると濃い緑へ。秋になると周りの落葉樹より一足早く黄色やオレンジ色に染まります。
4. 日本の暮らしと深い関わり
天気予報でよく耳にする「桜前線」は、春の訪れを知らせてくれる日本の風物詩。その基準になっているのがソメイヨシノです。各地で決められている標準木に5~6輪以上の花が咲いた日を開花日としています。
寒い冬を乗り越えて春を心待ちにしているとき、桜の開花は見る人の心を温め希望へと導きます。ソメイヨシノを見ると入学式を懐かしく思い出す人も多く、日本人の暮らしの中で重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
5. 「ソメイヨシノ」の育て方
5.1 栽培環境
ソメイヨシノは日当たりや風通しのよい場所を好みます。強風が吹き抜けるようなところは、花が吹き飛ばされてしまうので避けたほうがよいでしょう。
生育スピードが比較的早くすぐに大きくなるので、地植えする場合は十分なスペースが確保できる場所がオススメです。
5.2 水やり
水を多く欲しがるので、土が乾き切らないうちにタップリ与えましょう。地植えでは雨水に任せても大丈夫ですが、夏に水切れを起こすと紅葉する前に葉を落としてしまうことがあります。
土の乾き具合をよく観察して適度な水やりをこころがけましょう。
5.3 肥料
肥沃な土壌を好むので、肥料は定期的に与えます。晩秋~冬にかけて寒肥として、株の周囲に有機質肥料や緩効性化成肥料を施しましょう。
5.4 剪定
不用意に剪定すると切り口から細菌が入り腐ってしまいます。短く切り詰めると花がなかなか咲かないことも。
剪定した際に切り口から菌が侵入しないように、保護材を塗っておくと安心です。
5.5 病害虫
発生しやすい病気は 木の上に巣のようなものができる「てんぐ巣病」。放置すると枯れてしまうため、早めに枝を切り落とし周りに伝染しないように気をつけましょう。
害虫はモンクロシャチホコやコスカシバの幼虫が多発します。被害が広がらないうちに早期発見して駆除しましょう。
6. 東京だけでなく日本のシンボルでもあるソメイヨシノ
満開のサクラを見る人はみんな優しい笑顔に包まれます。待ち遠しい春がようやくやってきた喜びと、次のステップへの大きな期待を与えてくれるソメイヨシノ。
東京生まれで都の花とされているソメイヨシノは、まさに日本を代表する名花と言えるでしょう。
また、自分の出身地やゆかりのある土地は、どんな花がシンボルになっているのか、まだご存じない人はぜひ調べてみてくださいね。