3. 年金機構が回答する『天引きのメリット』とは
年金からも容赦なく天引きされる「税金や保険料」ですが、日本年金機構はそのメリットとして下記のように回答しています。
高齢者のほとんどの方が何らかの公的年金を受け取っていますので、年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税の各種保険料(税)を特別徴収することにより、年金受給者の方は個別に各種保険料(税)を金融機関等に納めに行く必要がなくなります。
また、市区町村は住民に個別の納付勧奨などを行わなくても各種保険料(税)を収納することができます。
こうしたことから、年金受給者の方や市区町村の負担を軽減する仕組みとして、市区町村からの依頼に基づき、年金から各種保険料(税)の特別徴収が行なわれています。出所:日本年金機構「Q.年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税を特別徴収するのはどうしてですか。」
いずれにしても保険料や税金は納める必要があるため、年金天引きにすれば金融機関等に納めに行く必要がなくなるというメリットがあります。
また、市区町村は住民に個別の納付勧奨などを行わなくても各種保険料(税)を収納することができるというメリットがあるでしょう。
つまり、年金受給者と市区町村の両者にメリットがあるとされているのです。
年金の手取りが減るのは確かにつらいものがありますが、納付の手間が無くなるのは一つのメリットかもしれません。
4. そもそも「厚生年金」の額面は平均でいくら?
ここからは、厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、厚生年金や国民年金の受給額平均(2022年度末時点)を見ていきます。
※厚生年金の金額には、国民年金部分も含まれています。
4.1 厚生年金の平均受給月額
- 〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金部分を含む
ただし、厚生年金の受給額は現役時代の収入や加入期間で決まるので、個人差が大きいことにご留意ください。
5. そもそも「厚生年金」の額面は平均でいくら?
同じく厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、次は国民年金の平均受給額を確認します。
5.1 国民年金の平均月額
- 〈全体〉平均年金月額:5万6316円
- 〈男性〉平均年金月額:5万8798円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4426円
平均月額は5万6316円で、同調査から「6万円以上~7万円未満」の受給者が最も多いことが見て取れます。
自営業者や専業主婦などは、国民年金のみを受け取ることになり、厚生年金がない場合、年金だけで生活するのはやや不安な金額であると言えます。
もし国民年金のみの受給になる場合、所得税や住民税は非課税となるでしょう。
6. まとめにかえて
今回は「年金」にフォーカスをしてお話をしていきました。
老後に受け取る年金額や天引きされる税金・保険料を把握することで、老後に向けた準備をする必要かあるかどうかの判断材料になります。
とはいえ、もし準備が必要ないくらいの年金受給額であっても、老後に向けた準備をすることは将来のご自身にとって損なことではありません。
この記事を読んで、老後に向けた準備の必要性について知っていただければ幸いです。
参考資料
- 厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします ~年金額は前年度から2.7%の引上げです~ 」
- 日本年金機構「Q.年金から所得税および復興特別所得税が源泉徴収される対象となる人は、どのような人でしょうか。」
- 日本年金機構「Q.年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税を特別徴収するのはどうしてですか。」
長井 祐人