季節も少しずつ春へと変わり、過ごしやすい季節へとなってきた日本。春は「桜」や「花粉症」をイメージする方も多いですが、同時に年度末は「お金」についてイメージする方も多い季節のはずです。
皆さんは年金から税金や保険料などが天引きされることをご存知でしょうか。普段、働いた対価として受け取れるお給与から税金や保険料が引かれるように、年金からも税金や保険料は天引きされています。
この記事では、老後の収入源である「年金」から天引きされるお金の正体について確認します。
また、天引きすることの『メリット』として日本年金機構が提示する理由についても見ていきましょう。
1. 厚生年金と国民年金とは?仕組みをおさらい
公的年金には「厚生年金と国民年金」があり、受給額の水準が異なります。
これにより、天引きされるお金も変わる可能性があるため、まずは両者の違いや公的年金の仕組みを押さえておきましょう。
1階部分に位置するのが国民年金で、日本に住む20歳以上60歳未満の人が原則として加入します。保険料は一律で、2022年度は月額1万6590円、2023年度は1万6520円。
保険料の納付要件を満たした場合、老後には老齢基礎年金が支給されます。
40年間保険料を支払うと満額が受給できますが、未納や免除された期間があると、年金額が減額されます。
一方、2階に位置するのが厚生年金。公務員や会社員などが、国民年金の上乗せとして加入します。
厚生年金の保険料は、現役時代の報酬に応じた等級で決まります。また、加入期間や支払った保険料によって、受け取れる老齢厚生年金の年金額が変わります。
2. 厚生年金と国民年金から天引きされるお金って何?
要件を満たす場合、老後には老齢基礎年金や老齢厚生年金が受給できることがわかりました。
しかし、ねんきん定期便や支給決定通知書に書かれた金額は、あくまでも額面です。実際には天引きされるお金があるため、手取り額は少なくなる点に注意しましょう。
ここからでは、年金から天引きされる4つのお金を見ていきます。
2.1 介護保険料
介護保険料は65歳になると単独で支払うことになり、年金が18万円以上の場合、年金から天引きされます(40歳から64歳までの間は健康保険料に含んで納付)。
なお、介護保険料の支払いは一生続きます。
介護保険料は所得や自治体によって異なりますが、増加傾向にあります。
2.2 国民健康保険料や後期高齢者医療制度の保険料
健康保険料(国民健康保険や原則として75歳以上の方が加入する後期高齢者医療制度の保険料)も、要件を満たす方は年金から天引きで支払います。
年金天引きにならなかった場合は、普通徴収(納付書や口座振替)にて納めます。
2.3 個人住民税
前年中の所得に対してかかる住民税も、年金所得が一定になれば課税され、年金天引きで納めます。
保険料とは異なり、収入が一定に満たなければ非課税となり、支払い義務が発生しないこともあります。
障害年金や遺族年金を受給する場合は非課税です。
2.4 所得税および復興特別所得税
一定額以上の年金にも所得税がかかります。公的年金は雑所得となり、65歳未満なら108万円、65歳以上なら158万円を超えると課税されます。
また「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律117号)」により、所得税の源泉徴収の際に併せて復興特別所得税もかかります。
障害年金や遺族年金を受給する場合は非課税です。