2. 児童手当「早生まれが不利」なのはなぜ?

児童手当は基本的にすべての子どもを対象に年齢に応じて一律の額が支給されますが、「早生まれが不利」と言われるのはなぜなのでしょうか。

現行の児童手当が支給される最終の区切りは中学3年生(15歳の誕生日の最初の3月31日まで)となっています。

そのため、同じ年に生まれても早生まれ(1月1日〜4月1日)と遅生まれ(4月2日〜12月31日)の人とでは、児童手当の支給総額が最大で11万円も変わってくるのです。

さらに、2024年からは高校生まで支給対象が拡大しただけでなく、第3子以降の支給額の増額もされることから、より児童手当の支給総額に差が生じると予想されます。

上記のことから、「早生まれは受け取れる児童手当が少ない」とされ、不利と感じる人が多くなっているのです。

2.1 早生まれが不利になるのは児童手当だけじゃない?

早生まれが不利になるのは児童手当だけでなく、「扶養控除」でも不利になるケースがあります。

扶養控除とは、納税者に「控除対象扶養親族」となる人がいる場合に、一定の金額の所得控除が受けられる控除を指します。

ここでいう「控除対象扶養親族」は、その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人が該当し、該当者がいる場合は「年間38万円」の扶養控除が受けられます。

この際に留意しておきたい点として、遅生まれの場合は高校1年生の12月31日の時点で16歳ですが、早生まれの場合は同時期にはまだ15歳です。

つまり、遅生まれの世帯はその年に扶養控除が受けられますが、早生まれの世帯の場合はその年の扶養控除が受けられないケースが出てくるのです。

とはいえ、2024年より児童手当の支給対象を高校生まで拡大することから、所得税や住民税などの扶養控除を縮小する方針を固めています。

これにより、早生まれ・遅生まれの控除額の差は縮まりますが、どちらにせよ扶養控除の縮小となれば、どの子育て世帯においても税負担は大きくなるとうかがえます。

3. 必ずしも「早生まれが不利」とは限らない

本記事では、生まれた月によって受け取れる児童手当にどのくらいの差が生じるのか、なぜ差が生じてしまうのかについて詳しく解説していきました。

早生まれであることによって、児童手当や扶養控除などで不利になるケースが多いですが、必ずしも早生まれが不利とは限りません。

仮に高校卒業と同時に自立をする場合、遅生まれのほうが早生まれよりも最大で11ヶ月も養育費が変わります。

上記を考慮すると、「早生まれが不利」とは一概にはいえないといえるでしょう。

参考資料

太田 彩子