普通に会社員として勤めたのち老後生活に入ると、確定申告を行う機会はそう多くないでしょう。
年金生活者も確定申告が必要なケースは多くないものの、状況によって必要な場合があります。
また、必須ではないものの、確定申告によって税負担額を抑えるなどの利点が期待できるケースも。
今年の確定申告期限が3月15日(金)までに迫りました。
年金生活者でも確定申告すべきケース・した方がいいケースそれぞれのパターンについて、おさえておきましょう。
1. 確定申告不要制度とは
まず前提として、年金受給者には「確定申告不要制度」というのがあります。
つぎの要件を共に満たす方は、確定申告が不要となります。
- 公的年金等(※1)の収入金額の合計額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる公的年金等に係る雑所得以外の所得金額(※2)が20万円以下である
※1:公的年金等とは:国民年金や厚生年金、共済組合から支給を受ける老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金、老齢共済年金)、恩給(普通恩給)や過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金、確定給付企業年金契約に基づいて支給を受ける年金 など
※2:公的年金等に係る雑所得以外の所得とは:生命保険や共済などの契約に基づいて支給される個人年金、給与所得、生命保険の満期返戻金 など
年金以外にまとまった収入がない方の場合、上記に該当する可能性が高く、結果的に多くの年金受給者は確定申告が不要となっています。
2. 年金生活者でも確定申告をしなければならないケース
裏を返すと、次のような方は確定申告が必須となります。
- 公的年金等を年間400万円以上受け取る人
- 公的年金以外の所得が年間20万円を超える人
たとえば確定給付企業年金などが高額なため、年間の受給額が年400万円を超える場合などには、確定申告が必要です。
また、年金以外の所得が年間20万円を超える方も確定申告の対象となります。
通常の給与所得者などの場合は「雑所得」が20万円以上の方に確定申告の義務が発生します。
一方で、年金の場合は、次のような年金以外の全ての所得が合計で20万円を超えれば確定申告しなければなりません。
- 給与所得
- 個人年金・企業年金(確定給付企業年金契約に基づいて支給を受ける年金を除く)
- 配当所得
- 一時所得(満期払戻金ほか)
- 不動産(賃貸)
たとえば、年金を受給するかたわら、正社員として給与所得を受け取る場合も確定申告が必要となります。