40歳になっても〈凡人のままだった〉すべての大人に捧げられた一冊です
リアル書店の棚に次々と並ぶ新刊はもちろん、中古書店並ぶ誰かが大切にしていた一冊、24時間いつでもすぐに読み始められる電子書籍と、本を入手する方法はさまざまですが、「これを読もう」という決め手が見つけられず、手に取り読み始めることができないなんてこと、ありませんか。自分はあります。
今回は、そんな方のために、2024年3月に刊行された新刊のなかから、独断と偏見で選んだ一冊『40歳から凡人として生きるための文学入門』を紹介します。
さて、本書の帯には気にせずにはいられない惹句が掲げられていました。
40歳になっても〈凡人のままだった〉すべての大人に捧ぐ
「あっ私のことですね」と、40歳を超えた本好きの凡人らしく反応してしまい、捧げられた一冊をそのまま手に取りました。
だって本書には「凡人を自負する文学研究者」による「人生を生きるための知恵」が記されているというのです。ひとまず中身を見ないわけにはいきません。
正直なところ、本を1冊書き上げることのできる人間、しかも「文学研究者」で大学の人文学部教授なる立派な肩書きを持つ人に「凡人」を名乗られても、凡人のなかの凡人であると自負している私は「それは凡人と言えるでしょうか」という感想を抱かずにはいられませんでした。
とはいえ、他者が自分をどう定義するのかについては、口を差し挟むことではないので、いったん「凡人を自負する」著者が何を言おうとしているのか、読み進めることにしましょう。
次ページからは、本書の目次とともに、「クスッ」と笑わずにいられない自称「凡人」の文学研究者の語りを紹介していきます。