2023年5月に改正健康保険法(※)が可決され、2024年4月より後期高齢者医療保険の保険料が値上げされることになりました。

年金収入に頼る高齢者にとって、保険料負担が増えることを心配している人もいるでしょう。

※正式には「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」

本記事では、後期高齢者医療制度の保険料値上げについて解説します。

年金収入のみの人の保険料負担がどうなるかも紹介しますので、2024年以降の家計への影響を確認しましょう。

1. 後期高齢者医療の保険料が値上げされる理由

保険料が値上げされる主な理由は次の2つです。

  • 出産育児一金を42万円から50万円に引き上げる財源を、後期高齢者医療制度も一定割合負担するため
  • 現役世代の保険料負担を抑えるため


こども・子育て支援の一環で、2023年4月より出産一時金の支給額が42万円から50万円に引き上げられました。

急速な少子化や人口減少に歯止めをかけることは国全体にとって重要な課題であるため、高齢者を含めて全国民が協力してその財源を負担することになったのです。

また、高齢者を中心とした医療給付の増加を主に現役世代が中心に負担する現状を是正し、後期高齢者と現役世代で公平に負担するため、2024年4月より後期高齢者医療の保険料が値上げされることになりました。

これにより、現役世代の負担の増加が抑えられます。

高齢者1人当たりの保険料や現役世代の支援金の推移

高齢者1人当たりの保険料や現役世代の支援金の推移

出所:厚生労働省「医療保険制度改革について」

2. 保険料値上げの実施時期

後期高齢者医療の保険料値上げは、2024年4月と2025年4月の2回に分けて実施されます。

保険料の急激な値上げが後期高齢者の生活に与える影響を緩和するための措置です。

厚生労働省の「医療保険制度改革について」によれば、後期高齢者1人あたりの保険料は2024年度に年4100円、2025年度に年1100円アップする見込みです。