3. 65歳以上も働く方が生きがいを感じやすい傾向にある
内閣府「令和4年版高齢社会白書」は65歳以上の人を対象に「生きがいを感じる程度」について調査を行いました。
【図表4】では「収入の伴う仕事をしている」人のうち、生きがいを「十分感じている」・「多少感じている」と回答した人は約80%を占めています。
一方、「収入の伴う仕事はしていない」人では、生きがいを多少・十分感じている人は約68%。収入の伴う仕事をしている人の方が、生きがいを感じやすい傾向にあることが見てとれます。
高齢者の就労については否定的にみられることもありますが、実際のところある程度働く方が生きがいを感じられるのかもしれません。
例えば、年金を生活するのに十分な金額を受給している方であっても、週に何度か働くことでリフレッシュになります。
また、年金がほぼゼロの方も働き続けられるほど健康ということは、同世代と比べて幸せなことです。老人ホームなどに入居する同世代が増える中で、働き、独立した暮らしを営めることは喜ばしいことと言えます。
4. まとめにかえて
60歳代の就業率は60歳代前半と後半で大きく異なります。60歳代前半については男性の80%以上が何らかのかたちで働いています。
60歳をすぎると、フルタイムからパートタイムに切り替える人も少なくないものの、60歳代前半の男性は大半が仕事に従事し、賃金を得ています。
また、女性についても60歳代前半は約6割が働いています。現在の60歳代は専業主婦も珍しくない時代でしたが、それでも働いている人は半数以上います。
しかし、60歳代後半になると、働く人の割合は大きく下がります。65歳から年金を受給できるため、毎月安定した収入を得られるためです。とはいえ、60歳代後半になっても働き続ける人は珍しくありません。
高齢になっても働き続けることに否定的な見方もあります。しかし、高齢になっても働けるほど「健康」な人が多い社会というのはよいものでしょう。
参考資料
- 独立行政法人労働政策研究・研修機構「「60代の雇用・生活調査」結果」
- 内閣府「令和4年版高齢社会白書」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 」
西田 梨紗