2. 年金から税金や保険料が天引きされる条件とは?
年金から天引きされるのは、所得税と住民税、国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)、介護保険料です。
ただし、必ず全員が天引きされるというわけではありません。ここでは条件について整理しましょう。
2.1 所得税
年金額が一定以上の場合、所得税が源泉徴収されます。所得税額の計算式は次の通りです。
- 所得税額=(年金額-社会保険料-各種控除額)×所得税率(復興特別所得税を含め5.105%)
各種控除とは、基礎控除や公的年金控除、配偶者(特別)控除、扶養控除などです。基本的に年金収入は確定申告の必要がありませんが、こうした控除を利用するには確定申告する必要があります。
年金以外の収入がない場合、65歳未満の人は年金支給額が108万円未満、65歳以上の人は158万円未満なら所得税がかかりません。
2.2 住民税
年金から住民税が天引きされるのは、65歳以上で年金額(年額)が18万円以上の場合です。
会社員など勤務先で給与天引きされている人は、年金からの天引きはありません。また介護保険料が公的年金から天引きされない人や、天引きする税額が老齢基礎年金等の年額を超える人も対象外です。
そもそも住民税が非課税という方は、もちろん天引きされません。
2.3 国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)、介護保険料
年金年額が18万円を超える場合、各種保険料も年金から天引きされます。
税金の場合は所得が一定以下であれば非課税になりますが、保険料の場合は非課税という概念がありません。そのため、もし天引きの対象とならなくても普通徴収で納めます。
負担は変わらない点に注意しましょう。
3. 年金振込通知書は必ず確認しよう
実際に受け取る年金額は、年金の額面よりも少なくなることがほとんどです。
年金から税金(所得税や住民税)と社会保険料(国民健康保険料や後期高齢者医療保険料、介護保険料)が天引きされることは知っておきましょう。
老後に備えるためには、年金振込通知書で手取り額を確認することが重要です。
また、天引きされる税金や保険料は年度の途中でも変わることがあります。手取り額に直結するため、不明点があれば各制度を所管する公的機関に確認しましょう。
参考資料
- 日本年金機構「年金振込通知書」
- 日本年金機構「申告書を提出した場合の源泉徴収税額は、どのように計算するのですか。」
- 日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
太田 彩子