3. パート主婦が厚生年金保険に加入。損なのか・お得なのか
パート主婦が厚生年金保険に加入した場合、その分給与から社会保険料が差し引かれるようになるため、一見「損ではないか」と感じてしまう方もいるかもしれません。
では、社会保険料の金額と、将来受け取れるプラスの年金額を比較したときに、パート主婦が厚生年金保険に加入するのはお得になるのでしょうか。
仮に50歳の主婦が60歳になる10年間「月に10万円」働くとします。
すると、65歳から厚生年金を受け取る場合、月の年金額が「4900円」増えるため、1年で約6万円ほど年金額がアップします。
年間給与120万円(月に10万円)の年金保険料の目安は月額9000円であることから、83歳まで年金額を受け取れば、支払った年金保険料よりも多く年金額を受け取れる見込みがあります。
厚生労働省の「令和4年簡易生命表の概況」によると、日本の女性の平均寿命は約87歳であるため、平均寿命上では、10年間の年金保険料に加入で年間給与が120万円でも「お得」になるでしょう。
人生100年時代といわれる現代では、今後女性の平均寿命がますます延びる可能性はあるため、厚生年金保険に加入してなるべく収入を増やす選択も視野に入れておけると良いでしょう。
4. 10万円以上も違う?夫婦で受け取れる年金シミュレーション
では最後に、夫婦で老後に受け取れる年金シミュレーションをみていきましょう。
厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」による、男女それぞれの平均年金月額は下記のとおりです。
上記を参考にした「夫婦で受け取れる年金シミュレーション」は下記のようになりました。
- 夫と妻ともに厚生年金:26万8753円
- 夫と妻ともに国民年金:11万3224円
- 夫が厚生年金で妻が国民年金:21万8301円
- 夫が国民年金で妻が厚生年金:16万3676円
上記表はあくまでも平均額によるシミュレーションですが、夫婦で厚生年金を受け取れる世帯が最も高くなっています。
一方で、夫婦ともに国民年金のみの受給の場合は、月額約11万円となっており、夫婦ともに厚生年金受給の世帯と比較すると10万円もの差があります。
より詳細な金額がしりたい方は「ねんきん定期便」または「ねんきんネット」を確認してみると良いでしょう。
5. 夫婦で協力して老後資金づくりもしておこう
本記事では、令和における「夫婦の家計事情」について詳しく紹介していきました。
共働き世帯が増えつつある現代では、夫婦で協力して老後の資金づくりもしやすくなっています。
近年では老後2000万円問題が話題となっているように、年金だけでは老後生活が赤字になる可能性もあります。
そのため、夫婦で協力しながら、年金だけに頼らない老後資産づくりも早いうちからしておけると老後の安心材料になるでしょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和5年版厚生労働白書」
- 株式会社400F「【オカネコ 結婚と子育てに関する意識調査】令和の夫婦の働き方は?「共働き」62.9% 、夫・専業主夫は僅か5.9%。理想の世帯年収は平均748万円」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「社会保険適用拡大 特設サイト」
- 厚生労働省「令和4年簡易生命表の概況」
太田 彩子