3. 厚生年金保険料が上がる理由は?
厚生年金保険料は、先ほども解説したように「標準報酬月額」と「保険料率」によって決まります。
このうち、保険料率は2017年9月から18.3%で固定されています。
そのため、国民年金の保険料が引き上げられたとしても、影響を受けません。
そのため、厚生年金保険料が高くなる理由は、等級が上がったからと考えられるでしょう。
等級が上がる理由として考えられる項目は、以下の3つです。
- 昇給による等級の引き上げ
- 残業で報酬が増えたことによる等級の引き上げ
- 等級の上限変更による等級の引き上げ
等級は、先ほども伝えた通り標準報酬月額ごとに1等級から32等級まで設定されています。
32等級にあたる報酬月額は、63万5000円以上です。
つまり、月収が63万5000円以上あれば、どこまで収入が高くなっても32等級にあたる保険料しか徴収されません。
ただし、厚生年金の等級は、厚生年金保険法第20条第2項をもとにして、新たな等級を追加することが可能です。
もし、新たな等級が追加されて等級が引き上げられると、保険料が増加します。
実際に、新たな等級を設けるべきか、厚生労働省で議論が始まりました。
詳しく見ていきましょう。
4. 高所得者の厚生年金保険料は引き上がる可能性
厚生労働省の年金部会は、32等級までとなっている厚生年金の等級に、新たな等級を設けるか議論を始めました。
等級を新たに設ける理由は、厚生年金加入者の平均標準報酬月額の2倍にあたる金額が、32等級の標準報酬月額65万円を上回る状態が続くとみられているからです。
33等級が追加されると、加入者の6.3%にあたる月収66万5000円以上ある人が、影響を受けるとされています。
今後、厚生年金の保険料について、どのような改定が行われるのか、注目が集まります。
参考資料
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
- 日本年金機構「国民年金はどのような人が加入するのですか。」
- 厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- e-gov法令検索「厚生年金保険法」
- 厚生労働省「厚生年金保険料率の引上げが終了します」
- 厚生労働省「第11回社会保障審議会年金部会(議事録)」
川辺 拓也