3. 社会保険料が高いのは損なのか?
残業代が多くなることで、社会保険料が高くなり月の手取り収入が減ってしまうため、「損をしてしまう」と思った方もいるかもしれません。
しかし、社会保険料は掛け捨てではなく、手厚い保障があるため、一概に「社会保険料が高くなる=損をしてしまう」とは言い切れません。
たとえば、病気やケガで会社を休む際に一定の条件を満たした場合は、傷病手当金を受け取れます。
この際に、支給額を算出する基となるのは「標準報酬月額」であるため、給付を受ける際により高い支給額になります。
また、老後に受け取れる公的年金の1つ「厚生年金」は、会社員時代の年収が大きく影響するため、標準報酬月額が高いほど将来受け取る年金も増加します。
厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均月額は「14万3973円」でした。
上記の平均月額に対して「少ない」「これでは足りない」と感じる場合は、社会保険料をより多く支払うことで、年金を増やせる可能性もあります。
上記を考慮すると「社会保険料は低いほうが良い」とは、一概に言えないことがうかがえます。
4. 「3月~5月の残業は損」とは一概には言えない
本記事では、「3月〜5月の残業は損」と言われる理由、「標準報酬月額」が決まる仕組みについて解説していきました。
3月〜5月の残業代は、社会保険料の金額に関与しているため、手取り収入が減ってしまう可能性があることから「損」と思う方も多いでしょう。
しかし、社会保険料を多く納めることで、年金や給付金といった手厚い保障を受けられるのも事実です。
手取りが減ってしまうという悪い面だけでなく、厚生年金が多くなるといった良い面にも目を向けて、総合的に考えられると良いでしょう。
参考資料
- 日本年金機構「令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)」
- 全国健康保険協会「令和6年度保険料額表(令和6年3月分から)」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
太田 彩子