2024年1月19日、厚生労働省より2024年度の年金額引き上げが発表されました。しかし、物価上昇率に追いついていないことから、実質的には目減りとなると捉えられています。

年金生活者は2カ月分の年金を受け取って、そこから家計を管理していますが、厚生年金や国民年金からも、税金や保険料が天引きされることをご存知ですか?

現代は「人生100年時代」と呼ばれ、セカンドライフが不透明な中、年金は重要な収入源となります。

そのため、年金から天引きされるお金について正確に把握しておくことが大切です。今回はそんな年金から天引きされるお金について、解説していきます。

1. 「厚生年金と国民年金」の仕組みをおさらい

まずは、公的年金である「厚生年金と国民年金」の仕組みをおさらいします。

公的年金制度の仕組み

公的年金制度の仕組み

出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和5年4月)・厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとにLIMO編集部作成

1.1 国民年金(老齢基礎年金)

日本に住む20歳以上60歳未満の人は、原則として国民年金(老齢基礎年金)に加入します。

保険料は一律で、2022年度は月額1万6590円、2023年度は1万6520円です。

40年間保険料を支払うことで、満額の年金を受け取ることができます。ただし、未納や免除された期間があると、年金額が減額されます。

1.2 厚生年金(老齢厚生年金)

公務員や会社員などは、国民年金に加えて2階部分の厚生年金にも加入します。

厚生年金の保険料は、現役時代の報酬に応じた等級で決まります。また、加入期間や支払った保険料によって、受け取れる年金額が変わります。

日本の年金制度は国民皆年金なので、全員が年金に加入しますが、老齢年金の「額面」として受給できる金額はいくらぐらいなのでしょうか。

2. 「厚生年金」月平均の受給額はいくら?

ここからは、厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、厚生年金の実際の受給額を見ていきます。

会社員や公務員だった方が受給する厚生年金の金額には、国民年金部分も含まれています。

2.1 厚生年金の平均受給月額

  • 〈全体〉平均年金月額:14万3973円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万4878円

※国民年金部分を含む

2.2 厚生年金月額階級別の老齢年金受給者数

【厚生年金】月額階級別の老齢年金受給権者数

【厚生年金】月額階級別の老齢年金受給権者数

出所:厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

  • 1万円未満:6万1358人
  • 1万円以上~2万円未満:1万5728人
  • 2万円以上~3万円未満:5万4921人
  • 3万円以上~4万円未満:9万5172人
  • 4万円以上~5万円未満:10万2402人
  • 5万円以上~6万円未満:15万2773人
  • 6万円以上~7万円未満:41万1749人
  • 7万円以上~8万円未満:68万7473人
  • 8万円以上~9万円未満:92万8511人
  • 9万円以上~10万円未満:112万3972人
  • 10万円以上~11万円未満:112万7493人
  • 11万円以上~12万円未満:103万4254人
  • 12万円以上~13万円未満:94万5662人
  • 13万円以上~14万円未満:92万5503人
  • 14万円以上~15万円未満:95万3156人
  • 15万円以上~16万円未満:99万4044人
  • 16万円以上~17万円未満:104万730人
  • 17万円以上~18万円未満:105万8410人
  • 18万円以上~19万円未満:101万554人
  • 19万円以上~20万円未満:90万9998人
  • 20万円以上~21万円未満:75万9086人
  • 21万円以上~22万円未満:56万9206人
  • 22万円以上~23万円未満:38万3582人
  • 23万円以上~24万円未満:25万3529人
  • 24万円以上~25万円未満:16万6281人
  • 25万円以上~26万円未満:10万2291人
  • 26万円以上~27万円未満:5万9766人
  • 27万円以上~28万円未満:3万3463人
  • 28万円以上~29万円未満:1万5793人
  • 29万円以上~30万円未満:7351人
  • 30万円以上~:1万2490人

現役時代の収入で保険料が決まるので、厚生年金は受給額に差が生まれやすくなります。