今年度の中学受験もようやく落ち着き、受験生やその親御さんは一息ついているところでしょう。
近年の日本において中学受験は盛んです。もはや、社会現象ともいえ、2020年には中学受験をテーマにしたドラマ「二月の勝者-絶対合格の教室-」(日本テレビ系)が放送されました。
本作は桜花ゼミナールが舞台となり、この学習塾で学ぶ生徒の格闘や成長、人間関係が描かれています。
勉強好きで、トップクラスの成績に自己の存在意義を見出している前田花恋(田中絆菜)、親に能力以上の学校を期待される今川理衣沙(渡邉心結)など、生徒たちのモチベーションも能力もさまざまです。
また近年では、中学受験に挑む親子のうつ病や精神科通いの増加も話題になっています。
中学受験は基本的に親子二人三脚ですすめていくため、受験者である子どもだけでなく、親がメンタルの病気を患い、それが子どもに影響するケースも珍しくありません。
とはいえ、中学受験にはメリットもあります。私立中学では公立よりも質の高い教育を受けられたり、それぞれに合った校風で6年間を過ごしたりできます。さらに、大学までストレートで進学できることもあります。
現代社会において何かと話題に挙がる中学受験ですが、中学受験をするには公立の学校に進学するよりもはるかにお金がかかります。
本記事では、子育て世帯の平均年収を見た上で、有名進学塾から有名私立大学を卒業するまでにかかる費用の目安を見ていきましょう。
1. 子育て世帯の平均年収は785万円
近年、「子育てにお金がかかる。余裕がない」と大きな声をあげる人は少なくありません。実際のところ、子育て世帯はどのくらいの年収を得ているのでしょうか。
厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」を元に確認していきましょう。
2021年における「全世帯」の平均所得は545万7000円でした。一方、「児童のいる世帯」の平均所得は785万円。全世帯と比べると、所得額が高いことが分かります。
ただし、「児童のいる世帯」には「児童手当等」も含まれており、所得のすべてが給与所得というわけではありません。
とはいえ、近年では「共働き」が主流のため、夫婦の給与を合算するとある程度の金額になる傾向にあります。
1.1 東京都の子育て世帯の所得は1000万円超えも多数
東京都の子育て世帯の所得は全国的に見ても高いと言われています。
東京都「令和4年度東京都福祉保健基礎調査「東京の子供と家庭」」では、小学生までの子供を養育する両親2565世帯、および20歳未満の子供を養育するひとり親448世帯を合わせた3013世帯の概況並びにその父母(養育者)5578人と子供5360人の概況をまとめています。
同調査から東京の子育て世帯の年間収入を見てみましょう。
【図表2】でもっとも興味深い点は、「共働き世帯」の38.5%が世帯の年間収入1000万円を超えていることです。「共働きでない世帯」についても28.0%が世帯の年間収入1000万円を超えています。
また、「共働き世帯」におけるもっとも多い世帯の年間収入は「800~1000万円未満」、「共働きでない世帯」については「600~800万円未満」という結果になっています。
近年では、女性(女子学生)も長期的に働くことを想定し、企業選びをするのが一般的です。
また、東京には男女ともに平均年収が高い企業に卒業生を輩出している難関大学が多くあります。学生時代からの恋人と結婚するパターンや職場結婚するパターンでは、世帯の年間収入が高くなる傾向にあります。