4. 老後資金が少ない場合は「公的施設」がおすすめ

高齢者向けの老人ホームには、地方公共団体や社会福祉法人が運営する「公的施設」と、民間企業が運営する「民間施設」の2種類があります。

マサルさんのお父様のように、主な収入源が国民年金だけという場合は、経済的な負担が少ない「公的施設」を選ぶとよいでしょう。

公的施設のうち、要介護3以上の人が入居できるのは「特別養護老人ホーム(特養)」と「介護医療院」です。

この2つの施設の入居にかかる費用は、毎月の利用料のみということもあり、経済的な負担が少ないのが魅力です。

さらに、住民税非課税世帯など所得の少ない方に対する負担軽減制度も用意されています。

それぞれの施設について詳しく確認してみましょう。

「特別養護老人ホーム」と「介護医療院」の特徴と注意点

出所:LIMO編集部作成

4.1 特別養護老人ホーム(特養)

特別養護老人ホーム(特養)の対象者は、65歳以上で要介護3以上の人、在宅介護が困難な場合など特例が認められれば要介護1~2の人です。

特別養護老人ホーム(特養)は、24時間体制で介護サービスが受けられます。

  • 入居一時金(初期費用):不要
  • 月額費用:8~15万円(低所得者向けの減免制度がある)

●特別養護老人ホーム(特養)のメリット

  • 原則65歳以上で要介護3から入所が可能
  • 低所得者向けの「減免制度」が利用できる

●特別養護老人ホーム(特養)のデメリット

  • 入居の順番は申し込み順ではなく、介護度や家族の状況などから緊急度の高い順に入居となる・入居を待つ人が多く、入居難易度が高い地域がある

4.2 介護医療院

介護医療院の対象者は、長期療養が必要な65歳以上(要介護1以上)。病院における長期療養の機能と介護保険施設における生活機能を兼ね備えた役割を持つ施設です。

  • 入居一時金(初期費用):不要
  • 月額費用:13~16万円(低所得者向けの減免制度がある)

●介護医療院のメリット

  • 手厚い医療ケアが受けられる
  • 要介護1~4または5まで幅広く入居可能
  • 24時間の看取り、ターミナルケアに対応している
  • 低所得者向けの「減免制度」が利用できる

●介護医療院のデメリット

  • 費用が高い
  • 施設数が少なく、入居難易度が高い

5. 親が住んでいる地域の「地域包括支援センター」にまずは相談を

マサルさんのお父様の要介護度は3レベル。この状態で公的な老人ホームを探すとなると上記でご紹介したとおり限定的になってしまいます。

低所得者向けの減免制度があるというのは魅力です。しかし、これらの施設は、どこの地域でも入居希望者が多い傾向にあります。

まずは、介護・医療・保健・福祉など相談窓口である地域包括支援センター(親が住んでいる地域)に現状を伝えることから始めましょう。

ご参考:80歳代の国民年金平均年金月額【最新版】

出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 80歳:5万5413円
  • 81歳:5万5283円
  • 82歳:5万7003円
  • 83歳:5万6779円
  • 84歳:5万6605円
  • 85歳:5万6609円
  • 86歳:5万6179円
  • 87歳:5万6030円
  • 88歳:5万5763円
  • 89歳:5万5312円

参考資料

舟本 美子