来たる2025年は団塊の世代がすべて後期高齢者となる年。そして、高齢者の5人に1人が認知症になると推計されている年でもあります。

「いよいよ親の介護について考えるときがやってきた」

そんなとき「親の年金や貯金が少ない場合は、子どもである自分が援助したほうがよいのか?」ということを悩むケースが増えています。

今回のご相談者であるマサルさん(仮名・54歳)も、その一人です。

84歳という高齢のお父様が入居する老人ホームを探していますが、使えるお金は国民年金の1カ月6万円と貯蓄500万円だけとのこと。さらに詳しい話を聞いてみましょう。

1. 「元自営業の84歳の父に認知症の症状。要介護3に」マサルさんのお悩み

一人暮らしの父が心配……。1/4

白髪の男性の後ろ姿。

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マサルさんのお父様は現在84歳で一人暮らしをしています。以前は理容院を営んでいましたが、80歳を一区切りに廃業しました。自営業者だったため、定年退職金はありません。

マサルさんは、車で15分のところに家族4人で暮らしています。きょうだいはいません。

お父様は、概ね健康に見えましたが、認知症の症状が見られるようになりました。先日、要介護認定の申請したところ「要介護3」の認定を受けました。

要介護3という状態で一人暮らしを続けることは難しく、マサルさんが暇を見つけてお父様の様子を見に行っている状況です。

お父様が元気であれば、住み慣れた自宅で過ごしてもらいたいですがそうもいかない状況です。マサルさんは、早々に「老人ホームに入居したほうが良い」と思っています。

2. 「老人ホームに入居する費用を子どもが援助すべき?」

老人ホームへの入居をするにあたり心配なのは「お金」です。

というのも、マサルさんのお父様の収入は、毎月支給される国民年金が約6万円です。それ以外の老後資金といえば貯蓄の500万円だけ。

老人ホームへの入居は、できるだけお金のかからない方法にしたいと思っていますが、国民年金だけで入居できる施設があるのかどうかもわかりません。

「もし、お金が不足するようなら子どもが援助すべきかどうか?」を考え悶々とする日々を過ごしているそうです。

3. 【FP助言】「親の介護費用は親のお金で支払う」が大前提

「介護費用は親のお金から」が大前提2/4

白い電卓、家の模型、杖

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マサルさんが親の介護費の援助について悩むことは珍しいことではありません。というのも、そもそも現役世代は、家のローンや教育費などがあり、お金がかかる時期を迎えています。

さらに、自分の老後資金の準備も必要です。そのため、親の介護費用を支払うのは大きな負担を強いられます。

もし、マサルさんがお父様の介護費用を負担するとなれば、経済的に困窮してしまい「介護破綻」に陥ってしまうかもしれません。

そのような負の状況を防ぐため、「親の介護費用は親のお金で支払う」ことを基本に考えましょう。

今回の場合も、まずはお父様のもらう年金と資産の範囲で賄える老人ホームを探しましょう。

4. 老後資金が少ない場合は「公的施設」がおすすめ

高齢者向けの老人ホームには、地方公共団体や社会福祉法人が運営する「公的施設」と、民間企業が運営する「民間施設」の2種類があります。

マサルさんのお父様のように、主な収入源が国民年金だけという場合は、経済的な負担が少ない「公的施設」を選ぶとよいでしょう。

公的施設のうち、要介護3以上の人が入居できるのは「特別養護老人ホーム(特養)」と「介護医療院」です。

この2つの施設の入居にかかる費用は、毎月の利用料のみということもあり、経済的な負担が少ないのが魅力です。

さらに、住民税非課税世帯など所得の少ない方に対する負担軽減制度も用意されています。

それぞれの施設について詳しく確認してみましょう。

「特別養護老人ホーム」と「介護医療院」の特徴と注意点3/4

「特別養護老人ホーム」と「介護医療院」の特徴と注意点

出所:LIMO編集部作成

4.1 特別養護老人ホーム(特養)

特別養護老人ホーム(特養)の対象者は、65歳以上で要介護3以上の人、在宅介護が困難な場合など特例が認められれば要介護1~2の人です。

特別養護老人ホーム(特養)は、24時間体制で介護サービスが受けられます。

  • 入居一時金(初期費用):不要
  • 月額費用:8~15万円(低所得者向けの減免制度がある)

●特別養護老人ホーム(特養)のメリット

  • 原則65歳以上で要介護3から入所が可能
  • 低所得者向けの「減免制度」が利用できる

●特別養護老人ホーム(特養)のデメリット

  • 入居の順番は申し込み順ではなく、介護度や家族の状況などから緊急度の高い順に入居となる・入居を待つ人が多く、入居難易度が高い地域がある

4.2 介護医療院

介護医療院の対象者は、長期療養が必要な65歳以上(要介護1以上)。病院における長期療養の機能と介護保険施設における生活機能を兼ね備えた役割を持つ施設です。

  • 入居一時金(初期費用):不要
  • 月額費用:13~16万円(低所得者向けの減免制度がある)

●介護医療院のメリット

  • 手厚い医療ケアが受けられる
  • 要介護1~4または5まで幅広く入居可能
  • 24時間の看取り、ターミナルケアに対応している
  • 低所得者向けの「減免制度」が利用できる

●介護医療院のデメリット

  • 費用が高い
  • 施設数が少なく、入居難易度が高い

5. 親が住んでいる地域の「地域包括支援センター」にまずは相談を

マサルさんのお父様の要介護度は3レベル。この状態で公的な老人ホームを探すとなると上記でご紹介したとおり限定的になってしまいます。

低所得者向けの減免制度があるというのは魅力です。しかし、これらの施設は、どこの地域でも入居希望者が多い傾向にあります。

まずは、介護・医療・保健・福祉など相談窓口である地域包括支援センター(親が住んでいる地域)に現状を伝えることから始めましょう。

ご参考:80歳代の国民年金平均年金月額【最新版】

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出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 80歳:5万5413円
  • 81歳:5万5283円
  • 82歳:5万7003円
  • 83歳:5万6779円
  • 84歳:5万6605円
  • 85歳:5万6609円
  • 86歳:5万6179円
  • 87歳:5万6030円
  • 88歳:5万5763円
  • 89歳:5万5312円

参考資料

舟本 美子