50歳代に差し掛かり体力がなくなるにつれて、今まで以上に仕事がキツく感じる人も多いのではないでしょうか。
なかには、早く仕事を辞めて老後生活を始めたいと考える人もいるかもしれません。実は、年金は受取時期を早めることが可能です。そのため、60歳から年金での生活を始めることもできます。
ただし、早く年金の受取を開始した場合には年間に受け取れる金額が少なくなる仕組みです。では、60歳から年金生活を始めることは損なのでしょうか。
本記事では、年金の繰上げ受給を使って60歳から年金の受取を開始することは損なのかシミュレーションするので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 年金の繰上げ受給とは
年金の繰上げ受給とは、年金の受取開始時期を早めることができる制度です。
通常、年金は65歳から受取を開始しますが、繰上げ受給を使えば60歳まで受給開始時期を早められます。ただし、受給開始時期を早める分、年間にもらえる年金額は減る仕組みです。
受給開始年齢ごとの年金受給額の減額割合は以下のとおりとなります。
1.1 受給開始年齢ごとの年金受給額減額割合
受給開始年齢:減額割合(65歳受取開始対比)
- 60歳:-24.0%
- 61歳:-19.2%
- 62歳:-14.4%
- 63歳:-9.6%
- 64歳:-4.8%
*1962年4月2日生まれ以降の人の場合
1年受給開始を早めるごとに、年間にもらえる金額は4.8%減る仕組みです。60歳から受給を開始すれば、65歳から年金の受取を開始する場合と比べて年間にもらえる金額は24%の減額となります。
2. 60歳から受給を開始した場合の年金受給額はいくらになるのか
年金の繰上げ受給を利用した場合の年間受給額の減額割合を確認しましたが、具体的に年金受給額はいくらになるのでしょうか。
以下の条件で、受給開始年齢ごとの年金受給額をシミュレーションしてみましょう。
- 1974年1月1日生まれ
- 平均年収400万円
- 20歳~59歳まで会社員として勤務
シミュレーションの結果は以下のとおりです。
2.1 受給開始年齢ごとの年金受給額
受給開始年齢:年間年金受給額
- 65歳:160万円
- 64歳:153万円
- 63歳:145万円
- 62歳:137万円
- 61歳:130万円
- 60歳:122万円
65歳から受給を開始した場合の年金額は年間160万円ですが、60歳から受取を開始した場合の受給額は年間122万円となります。年間38万円の減額です。
受給開始時期を早めることは、年金受給額にそれなりの影響が出ることがわかります。